キグレサーカスが事業停止に 「娯楽多様化に対応できなかった」

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   日本3大サーカスの1つと言われる「キグレサーカス」が事業停止に追い込まれた。個人消費の冷え込みやなどの影響があったというが、業界関係者は「サーカスもショービジネス。娯楽多様化の時代に対応できなかった」とみている。

   北海道札幌市に本拠地を持つキグレサーカスが2010年10月19日付けで営業を停止した。帝国データバンクによると、負債総額は約5億8800万円。

3大サーカスのひとつが消えた

   1942年創業、約70年の歴史を持つ老舗サーカス団だ。77年に法人化して、「キグレNewサーカス」として全国各地で興業を行い、3500人が収容できるテントを使うほど人気を集めていた時期もあった。07年12月期には年収入高約5億2900万円を計上している。

   しかし、近年は客足の伸び悩みに加え、09年には新型インフルエンザの影響もあるなどして10月の埼玉県川越市公演で大幅な赤字が発生。同年12月期の年収入高は約3億5800万円にまで落ち込んだ。経営の立て直しを図っていたが、先行きの見通しが立たなくなり10年9月末で従業員35人を解雇。10月23日から予定していた群馬県前橋市公演も中止し事業停止となった。

   キグレサーカスは木下大サーカス、ポップサーカスと並んで日本3大サーカスの1つとして数えられている。そのうち1つがなくなってしまったということになる。

   NPO法人国際サーカス村協会代表の西田敬一さんによると、日本でのサーカスの最盛期は昭和30年代。当時は全国に30以上のサーカス団があったが、テレビの普及や、サーカス興業が行われることの多かった祭りが衰退したことで徐々に減少。1990年代にはもう3大サーカスしかなくなってしまい、「日本3大というよりも、日本に3つしかないという感じ」だという。

「サーカスが来た」というだけで騒がなくなった

   しかし、サーカス業界全体がダメということではない。木下大サーカスや、ポップサーカスは成績もいいという。西田さんは指摘する。

「昔はサーカスも絶対的な人気があって、『サーカスが来た』というだけで子ども達が騒いだけど、今そんなことはありません」

   娯楽が多様化した現代では、半年、一年後の興業できちんと目標を立てて動員を稼ぐには、公演前にテレビCMやポスターなどでいかに宣伝したり、生協などでどれだけチケットを販売したりするか、といった営業活動が重要。他のサーカス団に比べ、キグレはそうした点に問題があったのではないか、という。

   また、カナダ発のサーカス団「シルク・ドゥ・ソレイユ」も現在日本で大人気だ。シルク・ドゥ・ソレイユは、アーティストの芸だけでなく音楽や照明、衣装なども凝っており、「現代的なサーカス」と言われている。他の国内サーカス団も団員に白人アーティストを入れたり、動物を使うなど工夫して特色を出したりしている。

「サーカスもショービジネス。キグレが時代に対応できなかったということでしょう。とても残念です」

   約70人が参加しているmixiの「キグレサーカス」コミュには「夢をいっぱい、感動をいっぱい、ありがとうございました」「また、復活してくれる事を私は信じています!」といったものが寄せられている。

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