TPP巡り民主党分裂の「危機」 「閣内不一致」どころか「倒閣始動」?

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   菅直人首相が唐突に参加へ意欲を見せた環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)をめぐり、党内から「党内の議論がなく、突然出てきた」と、批判の声があがっている。

   参加に批判的な与党議員約110人が集まって勉強会を立ちあげる一方、閣僚の中からは、参加を後押しする発言も目立つ。反対派の議員は小沢一郎元代表に近いとされる議員が多いだけに、政局含みだとの見方もある。

農水省として前原大臣に抗議する方針

   発端は、菅首相が2010年10月1日に行った所信声明演説だ。10年11月に横浜市で行われるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議への取り組みについて述べる中で、

「環太平洋パートナーシップ協定交渉等への参加を検討し、アジア太平洋自由貿易圏の構築を目指す」

と発言。仙谷由人官房長官も参加に前向きな姿勢を見せた。

   TPPは、APEC参加国を中心に、全ての品目で原則として関税を撤廃する自由貿易協定(FTA)。06年にシンガポール、ニュージーランド、チリ、ブルネイの4か国でスタートし、現在は米国やオーストラリアなども参加を表明し、計9か国で交渉が進んでいる。

   政府は2010年10月19日、日本がTPPに参加した場合、貿易や国内生産の増加が見込めるため、実質国内総生産(GDP)を年に2~3兆円押し上げるとの試算を民主党の会合に提出。試算では、参加しなかった場合は、他国に輸出を奪われるなどして2020年時点で、参加した場合と比較して輸出が8.6兆円、生産が20.7兆円それぞれ減少するとしている。

   TPPをめぐっては、日本経団連や日本商工会議所が早期参加を求めているほか、政府の中では、外務・経産省などが推進派だとされる。前原誠司外相は、10月19日に行った講演で、

「(農業などの第1次産業がGDPに占める割合である)1.5%を守るために98.5%のかなりの部分が犠牲になっている」

とも主張した。

   これに猛反発しているのが農林水産省だ。筒井信隆副大臣は、農水省として前原大臣に抗議する方針を明らかにし、10月21日の会見では、

「農業関係はマイノリティーだから、あるいは、その部分は切り捨てて95パーセントの方を助けた方がいいという趣旨に通じる発言なので、そういう点について、やっぱり抗議をしなければいけない」

と改めて不快感を表明した。

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