60歳以上や子どもの患者の治療法としても期待
心臓病の外科治療には、ほかに心臓移植などがあるが、日本循環器学会は「(移植手術を受けるのは)60歳未満が望ましい」との「適応条件」を設けている。「細胞シート法」なら移植よりは比較的体への負担も少ないため、60歳以上の患者への新たな治療法としても期待される。今回も62歳の患者で成功している。勿論60歳未満の患者にも有効だ。
しかし、澤教授によると「完全に心臓移植に取って代わる、という治療法ではない」。心筋の回復能力などにより「細胞シート法」に適した患者とそうでない患者がいるそうで、「夢の万能の治療法」とはいかないようだ。
それでも、心臓移植にはドナー(提供者)不足、補助人工心臓には合併症などの問題がある中、将来的な子どもの患者への適用の可能性を含め、「(細胞シート法の)可能性を広げていきたい」(澤教授)と期待を寄せている。