国内の固定電話、携帯向けの発信は不可の見込み
実はスカイプは、すでにアイフォーン向けにもアプリケーションがつくられている。世界各地で使われているアイフォーンで、相手にもスカイプが入っていれば、たとえ国際通話でもタダになる。
KDDIにスカイプ搭載機種が出ることで、例えばアイフォーンとIS01という異なる通信業者間の通話も無料が実現する。しかもKDDIの場合、スカイプでの通話にも携帯電話網を使用するので、音声がよりクリアになるだろう。利用者にとっては歓迎すべき話だが、KDDIはもちろん、アイフォーンを販売するソフトバンクモバイルにとっても、今後KDDI向けの通話料金が一部無料になることを意味する。スカイプには、会議通話機能やデータの送受信機能もある。使い方次第では、通信料金全体に響く恐れもあり得るだろう。
一方でKDDIは、スカイプから国内の固定電話、携帯電話向けの発信はできないようにする見込みだ。ネット掲示板を見ると、一部から「これじゃ、ほとんど意味が無い」と落胆する声もあがった。一方で、今回のKDDIの発表でスカイプの存在を知ったとする意見もあり、このような消費者が多いとすれば、宣伝効果としてはまずまずだったかもしれない。
富士キメラ総研が10月14日に発表した国内のスマートフォン市場予測によると、2014年度には、09年度と比べて4倍に大幅拡大が見込まれる一方、携帯電話サービスの新規需要は期待できないとしている。今後の主戦場がスマートフォンになるのは明らかだ。アイフォーンで独走状態のソフトバンクモバイルと、「エクスペリア」や韓国サムスン電子製「ギャラクシーS」で追撃するNTTドコモにこれ以上遅れをとれば、KDDIにとっては致命傷になりかねない。通話料収入を一部「捨てる」痛みを伴ってでも、今のうちに追いつけ、追い越せ精神で進まないと未来はないと「決断」したのだろうか。