女子中生が男子便器を「素手」で掃除 「人権侵害では」とネットで大騒ぎ

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   男子トイレ内の便器を女子中学生が「素手」で掃除している写真を巡って大騒ぎが起きている。トイレ掃除をすることによって生徒達の心を磨くことができる、ということだが、写真を見た人から「これって虐待にならないか?」「感染症のリスク高すぎるだろ」といった批判が出て、大量にネットの掲示板やブログに書き込まれる事態になっている。

   この写真は河北新報が2010年10月18日に電子版に掲載した。写真には「汚れがこびりついた便器を素手で磨く生徒ら」という説明が付いていて、体操着姿の女子中学生数人が腕まくりをし、男子便所の小便器の中に手を突っ込んで掃除している様子が写されている。

「臭すぎ」「汚い」と最初は悲鳴を上げた

   河北新報の記事によれば、このトイレ掃除は2010年10月16日に宮城県の坂元中学校で実施した。参加したのは生徒と教員、保護者の105人。校内にある18カ所計87個の便器をスポンジなどの清掃用具を使って素手で丁寧に磨いた。生徒らは「臭すぎ」「汚い」と初めは悲鳴を上げたが、最後は満足そうな笑顔を見せた、という。この掃除を主催したのは坂元中のPTA。トイレ掃除を通じ、謙虚な人になる、感動の心をはぐくむ、感謝の心が芽生えることを願っての実施だった。

   しかし、女子中学生が男子トイレを「素手」で掃除する写真が公開されるとネットでは、

「やる事は悪くないが、素手はねーよwww感染って言葉の意味知ってるのか?」
「どう考えても人権侵害だろ」
「男子便所の掃除を女子にやらせんなよ。常識ねえのか」

などの批判の書き込みが大量に出て騒然となった。

   どうしてこのようなトイレ掃除になったのか。坂元中によると、トイレ掃除を推奨するNPO法人「日本を美しくする会 掃除に学ぶ会」の勉強会に同校のPTA関係者が参加したのがきっかけ。感銘を受け、トイレ掃除をしたいと提案してきた。

   このNPO法人が推し進めるトイレ掃除は各地の学校で行われている。村井嘉浩宮城県知事も県内の学校でトイレ掃除に参加したというニュースを知り、実施に踏み切った。

   男女混合も含め数人単位のグループ分けをして一斉に校内のトイレ掃除を始めた。どのグループがどこのトイレを掃除するかはランダムにしたために、男子トイレを担当することになった女子生徒もいた、という。

トイレ掃除は荒れた学校や、生徒の更正にも役立つ?

   なぜ「素手」なのかといえば「掃除に学ぶ会」の考え方がそうだったからだという。ただ、感染症防止のためビニール手袋をした生徒もいたほか、素手の場合は感染を防ぐ薬のようなものを塗って実施したということだ。今回のトイレ掃除は生徒や保護者にも好評だったが、写真が新聞などに掲載されてから「なぜこんな掃除になったのか」という疑問の電話が学校に寄せられるようになった。

   「日本を美しくする会 掃除に学ぶ会」とはどんな団体なのか。

   今から約17年前にカー用品販売大手イエローハット創業者の鍵山秀三郎さんが創唱した。トイレ清掃の活動を全国に広げ、2007年にNPO法人になった。「トイレ掃除を通じて人間性を高める」ことなどが目的で、これまで10万人以上の人がトイレ清掃に参加。歩道の清掃なども行っている。

   同法人によれば、学校の先生が特に活動に熱心で、10年ほど前から「教師の、教師による、教師のためのトイレ掃除に学ぶ会」が設立され、現在は全国に15ヵ所ある。また、トイレ掃除などを学ぶ小規模の集まり「便教会」も全国数十ヵ所で開かれている。素手でトイレ掃除をするのは、

「便器に付いたぬめりや、細かい汚れは直接手で触らなければわかりにくい」

ためだが、感染症の恐れもあるため、素手に薬のようなものでコーティングしたり、手に傷のある人にはゴム手袋を付けてもらうのだという。大人や先生がトイレの中に直接手を突っ込む姿は驚きと感動で受け止められ、生徒が自分でそれを実践することで違った世界観が得られる、というのだ。

「荒れた学校の修復や、問題生徒の更正にもトイレ掃除は役立っている」

と同法人は胸を張っている。

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