会社更生手続き中の日本航空(JAL)の稲盛和夫会長は2010年10月20日、東京・有楽町の外国特派員協会で講演し、会長就任からの9か月を振り返った。社内の改革などが順調に進んでいることを強調する一方、格安航空会社(LCC)の展開については、米国での過去の失敗例などを挙げて、否定的な見解を示した。
稲盛氏は、「(10年2月の)会長就任直後は驚くことが多かった」とした上で、「更生計画を実行するのはJAL幹部社員しかいない。申し訳ないが、彼らは、私には頼りなく映っていた。元々官僚的で、無責任な体質があった」などと同社の体質を批判。
「わたしもその件では悩んでいる」
外国特派員協会で講演するJALの稲盛和夫会長
だが、現段階でのJALについては、「JALの体質は大きく変わった。官僚的な面が払拭されつつある」と、就任以来の改革の成果が上がっていることを強調した。
また、全日空(ANA)が正式に設立を表明するなどして注目を集めているLCCについては、
「LCCが次々に日本に名乗り出ている。そういう要望は非常に強い。わたしもその件では悩んでいる」
と、「検討中」であることを強調。だが、
「過去に米国の大手航空会社がLCCを設立・運営したが、2年ぐらいですべてやめている例がたくさんある。そういう先例を見ながら(考えたい)。まだ(方針を)固めた訳ではないが、JALという会社は、やはりハイクオリティーの航空会社であるべきではなかろうかと思っている。お客様に喜ばれ、愛される素晴らしい航空会社にしたいと思っている」
と、米国の失敗例を引きながら、消極的な見解を示した。
別の質問に対しても、「質のいい、ハイクオリティーな、プレミアムな輸送会社を目指したい」と言及、格安志向を否定した。