厚労省「引き続き確認しているところ」
(2)についても、「報告する責務(行政指針上及び良心の問題として)」や報告する必要性の有無をめぐり両者は対立している。ほかにも「ペプチド開発者は誰か」や東大発ベンチャー企業を巡る「金銭的な私利私欲」の構図(清木所長)、出血に触れた医科研の論文発表の意味合いについても見解は大きく異なっている。
朝日新聞は解説記事や社説で「東大医科研の事例は法による規制なしで臨床試験の適正さを確保しようとしても限界があることを改めて示した」などと、薬事法などで規定がある「治験」と、罰則のない行政指針で対応する研究者主導の臨床試験の「二重基準」の解消を提唱している。
清木所長は、J-CASTニュースの取材に対し、「今回の問題ある報道で、新しい医療開発をやろうとしている医師や研究者を傷つけ、多くのがん患者に動揺や不安を与えました」と朝日記事を批判し、「組織としては難しいかもしれませんが、個人としてでも朝日新聞には訂正などを直接求める予定です」。
一方、朝日新聞広報部は「当該記事は、確かな取材に基づくものです」と回答した。
また、厚生労働省研究開発振興課にきいてみると、朝日新聞記事にあるように、医科研関係教授に今回の件で話をきいたことは認めた上で、「朝日新聞の取材を受け、事実を確認する必要がある点があるので引き続き確認をしているところ」なのだという。医科研の対応に問題があるのかないのか、まだ判断はつきかねているようだ。