米Gapが新ロゴを発表したところ、ネット上で袋叩きにあって、わずか1週間で元のデザインに戻すという前代未聞の事態になった。ネットユーザーが火をつけ、テレビ、新聞報道も巻き込んだ、この騒ぎ、急展開の裏でいったい何が起きていたのか。
アパレル大手のグローバル企業Gapのブランドロゴといえば、正方形のブルー地に細い白文字の「GAP」。このすっかり定着した20年来のデザインが突然変更されたのは2010年10月4日だった。新ロゴは、黒字の太い字体で「Gap」。あのブルーの四角が小さくあしらわれた。
ツイッターは「ダサすぎる」一色に
オフィシャルサイトでのこの変更は、ツイッターを通じて瞬く間に知れ渡り、インターネット上には驚きの声とともに「ダサすぎる」などの批判の声が一気に広がった。新ロゴをからかうツイッターアカウント「@GapLogo」や、文字を入力するだけで同様の「ダサい」デザインで好きな文字列のロゴを自動生成できるサイトまで登場した。
ロゴの変更は企業にとって一種の賭けだ。09年、飲料メーカーの米トロピカーナがジュースのパッケージを変更したとき、消費者から酷評を受けてやはりデザインを戻すはめになり、売上げに大打撃を受けたという失敗例がある。日本でも08年春、当時「一人負け」といわれたNTTドコモが、「DoCoMo」を「docomo」に変更した。発表のその日、ドコモの社長交代人事を日経新聞が特ダネで報じている。社運をかけた起死回生策だったわけだ。