熱帯雨林動植物から医薬品開発 COP10「遺伝資源」配分ルールに注目

富士フイルムが開発した糖の吸収を抑えるサプリが500円+税で

中華料理の香辛料から「タミフル」開発

   第2の「名古屋議定書」、つまり「遺伝資源」の利用を巡る対立も根深い。

   遺伝資源、つまり鉱物資源ではない遺伝子を持つ生物の資源の利用という場合、典型が熱帯雨林の微生物などから医薬品を開発するケース。マダガスカル島ニチニチソウの成分から抗がん剤、中国の中華料理の香辛料「八角」からインフルエンザ治療薬「タミフル」などが代表例だ。

   遺伝資源は、先進国の企業が、例えば現地の人が昔から薬として使っていた植物、昆虫、微生物などを持ち帰って研究した、植民地時代からの歴史があり、途上国側には恨みもある。こうした生物資源を利用した製品の市場規模は45兆円とも70兆円ともいわれる。

   途上国は医薬品などの原料の原産国への利益の還元、さらに開発技術の提供を求めている。特に、「現在」「未来」の利益だけでなく、植民地時代という「過去」の利益にさかのぼっての還元を主張している。先進国側の国や企業は、負担が重過ぎると資源を活用できなくなり、途上国にも不利益になると訴えて、対立している。

   特に医薬品は莫大な開発コストがかかることから、先進国では「特許」で製薬メーカーの利益を十分に確保させて、開発資金を捻出できるようにしているが、その分、特許期間は値段が高く維持されるため、資源を提供した途上国が高価で買えないといった事態にもなり、強い不満がある。

   議長国の日本は途上国自身が遺伝資源を利用するための研究技術提供や機材整備などの支援の方針を打ち出し、議論の取りまとめに指導力を発揮したい考えだが、先進国と途上国の溝は深い。最後は10月27~29日の閣僚による会合にゆだねられるとみられ、合意に達するか、世界の目が名古屋に集まる。

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