熱帯雨林動植物から医薬品開発 COP10「遺伝資源」配分ルールに注目

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   国連生物多様性条約の第10回締約国会議(COP10=名古屋会議)が名古屋市で開かれている。生態系保護の国際目標設定(名古屋ターゲット)と、「遺伝資源」を利用した利益の国際配分ルール策定(名古屋議定書)の2つが最大の焦点で、最終日の2010年10月29日までの合意を目指している。しかし、先進国と途上国の利害が対立しており、予断を許さない。

   地球上には現在、確認されているだけで176万種、未確認のものも含めると3000万種もの生物が存在するといわれる。多様な種が、「食べる・食べられる」という食物連鎖、あるいは蜜を得る代わりに蝶が受粉を助けるという「共存共栄」の関係など、様々な関係で結ばれ、地球上の生物が生き、地球環境も維持されるという「生態系」を形作っている。

途上国はハードルの低い目標望む

   生態系は微妙なバランスで成り立っていて、連鎖や共生の輪のパーツがかけると、全体のバランスが崩れ、影響が波及し、生物が支え合う地球環境の力が落ちていく。

   実際に人間の自然破壊行為によって、毎日100種、年間4万種もの生物が絶滅している。これは、自然状態で減っていくペースの1000倍ともいわれ、まさに危機的状況だ。

   種の多様性を守ることを目的に結ばれたのが、生物多様性条約。1992年にブラジルで開かれた「地球サミット」で決まったもので、温室効果ガスの排出を抑えることを目的にした地球温暖化防止条約と一緒に、地球環境を守る車輪の両輪として結ばれた。

   会議の第1の焦点である名古屋ターゲットは、2020年と2050年に向けた数値目標と、それを実現するための戦略を決めること。具体的には魚の乱獲防止、在来種を脅かす外来種の侵入防止、「生物保護区」の拡大などが挙げられる。ただ、熱帯雨林をはじめ、保護すべき多様な生物が生息する地域の多くが途上国。経済発展して豊かになりたい途上国はハードルの低い目標にしたい。

   先に自然を破壊して豊な経済社会を築いている先進国は、生物多様性の損失を食い止めたい。そこで、途上国は高い目標にするなら、それに見合う資金援助をしろと主張する。実際、夏に来日した南米ボリビアの大統領は、アマゾン川流域の石油開発を自然保護のために止める用意があるが、開発で得られるだろう利益に見合う支援を求めた。

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