限られた規模でデモをさせ、ガス抜き?
だが、北京では10月15日から18日までの会期で、中国共産党の第17回中央委員会第5回総会(5中総会)が行われている。5中総会では、習近平・国家副主席を党中央軍事委員会副主席に選出する人事を決定。今回の人事で、習氏が胡錦濤・国家主席の後継者に事実上確定した形だ。
今回のデモをめぐっても、「国際協調派」に対抗しようとする、「保守派」の習氏の意向が働いているとのうがった見方もある。だが、このような重要会議の期間中に「騒乱」が起きることは、中国政府のメンツをつぶすことになりかねない。
このことが関係しているのか、反日的な論調で知られる環球時報も、10月18日の論説の中で、靖国問題などで日中関係が悪化した05年に比べてデモが穏やかになったことを強調。
「インターネットの利用者が、愛国主義者の動機に対して公然と疑問を呈したり反対意見を述べたりすることは、5年前では考えられなかったことだ。この背景には、経済成長で中国に自信がつき、外国勢力への敵意が小さくなっていることがあるとみられる。中国の大衆は成熟しつつある」
などと主張している。あくまでも「デモはコントロールされている」との立場だ。
10月18日にも、湖北省の武漢で100人規模の反日デモが発生。時事通信は「警官隊が出動したが、デモを阻止していないという」とも報じている。見方によっては、
「限られた規模でデモをさせて、『ガス抜き』をしている」
といった可能性もありそうだ。