東大出身の6人組バンド「ソノダバンド」が2010年10月20日、メジャーデビューする。全員東大というのも珍しいが、メンバーの半数は灘高出身。リーダーの園田涼さんも灘高校からバークリー音楽院を目指したが、親に反対されて東大に現役進学という異色の経歴を持っている。
リーダーの園田さん(キーボード)を中心としたバンドで、キーボード、ドラム、ベース、ギターにヴァイオリンとチェロが入るという6人編成。ジャズやクラシックなどの要素が入った楽曲を高度なテクニックで演奏している。
灘高校でも音楽活動、学園祭賑わす
編成も変わっているが、ドラムの小山田和正さんが東大OB、他のメンバー5人も現役東大生だ。最近では、「キセキ」などのヒット曲を出した「GreeeeN」がメンバー全員歯科医大生として話題になったが、こちらも近年まれに見る高学歴バンドだ。
公式サイトなどによると、園田さんと熱田哲さん(ヴァイオリン)、橋本怜さん(チェロ)が灘高校出身。3人とも高校時代から園田さんが部長を務めていた「クラシック研究部」で音楽活動をしており、当時から学園祭を賑わしていた。
その後、3人とも東大に進学。ソノダバンドは大学の音楽サークルを通して07年頃に現在の編成になった。09年には、アジア地域の優れたバンドが集まるヤマハ主催のバンドコンテスト「東京バンドサミット2009 vs アジアンビート」にも日本代表として参加し、準グランプリ。10年3月には米テキサスで開催された世界最大の音楽コンペティション「SXSW」にも出演し、好評を博している。
ファンの6割は20~30代の女性
園田さんが中学受験のために通っていたという神戸市の大手学習塾「若松塾」のサイトには「名門若松塾出身の東大生バンドが世界デビュー」という文章が10年2月付けで掲載されている。園田さんは中学受験当時から音楽をやっており、練習と勉強の折り合いを工夫してつけながら、ぐんぐんとレベルアップ。当初合格は難しいと言われた灘中高に見事受かった。その後も、同塾を度々訪れ、後輩達に生活と勉学両面のアドバイスを行っていたという。ソノダバンドも同塾のイベントで演奏したことがあるようだ。
また「中高一貫校の実力」(読売新聞社)という本に収録されている「自分探しに一生懸命だった青春の6年間。母校には、感謝の思いでいっぱいです。」という座談会にも、灘高OBの1人として参加している。
その後ジャズの名門、米バークリー音楽院への進学も考えたが、親に反対され05年に現役で東大文学部へ。入学祝いはヤマハのシンセサイザーだったという。06年には「キーボード・マガジン」のシンセサイザー・コンテストでグランプリを獲得。08年度から2年間休学し、藤井フミヤさんやゴスペラーズのライブサポート、レコーディングに参加。10年度からまた大学に戻っている。
そして今回、10月20日にメジャーデビューアルバム「ルネサンス」(ビクターエンタテインメント)が発売される。様々なジャンルの要素が入ったアルバムだが、園田さんの解説によれば根底にあるのは「ロック」。タイトルについては、過去の偉大な音楽・音楽家に敬意を払いつつ、新しい音楽の可能性を拓きたいということで「ルネサンス」なのだという。
ビクターの担当者によると、ソノダバンドの音楽にはクラシックのような優雅な雰囲気があるため、ファンの6割は20~30代の女性。約1800人が所属するMixiのファンコミュニティには「メジャーデビューすごい嬉しい!応援します!」といった書き込みが多数寄せられている。