10~20代の独り暮らし世帯の手取り収入で、女性が男性を上回ったことが、総務省の調べで分かった。もはや女性に「おごる必要はない」のか。
「女におごる必要はないということだ」
「男はそれでも女を養え!」
もはや女性は優遇されるべきでない?
新聞でも男女逆転がトップに
日経新聞が2010年10月14日、「若年層収入 女性が上回る」と1面トップで報じると、2ちゃんねるなどネット上では、こんな論議に沸いている。低収入を前提とした女性優遇は、もはや見直すべきかなどについてだ。
総務省の09年10~11月調査の結果によると、10~20代の独り暮らし世帯の手取り収入で、女性が月21万8156円と、男性の21万5515円を上回った。これは、1969年に調査を始めてから、初の逆転というのだ。
5年前の調査に比べれば、女性が11.4%も増えたのに、男性は逆に7.0%も減っている。
その理由として、雇用や給与が、男性の多い製造業で落ち込んだのに対し、女性の多い医療や介護で上向いたことがある。製造業は、生産拠点の海外移転や不況によるボーナス減、非正規社員化が、主な原因だ。医療・介護は、高齢化で逆に需要が高まっている。
さらに、収入が低い男性がなかなか結婚できず、収入のよい女性は結婚しなくても生活できることが拍車をかけているようだ。プレジデントの10月1日付サイト記事によると、野村総研の調べで、20~49歳までの未婚者のうち、年収400万円未満の男性は83.9%もいたというのだ。
税金や年金などを入れた実収入では、男性が女性を上回っているが、これには事情がある。
総務省の消費統計課によると、住民税などは前年の収入にかかるので、女性よりも税額が多くなったことが挙げられる。また、女性の場合は、親元からの仕送りも収入に含まれるので、その分の手取りが増えたということだ。仕送りを除けば、男性と手取り額はほぼ同じだという。
若い女性の貯蓄大幅に増えている
スイスに本部がある非営利団体「世界経済フォーラム」が2010年10月12日に発表した男女平等ランキングでは、日本は94位と主要先進国では最下位になっている。しかし、前年の101位より上がっており、女性の推定収入額が07年に男性の44%だったのから、53%に改善している。これは、10~20代独り暮らし世帯の手取り収入男女逆転が影響した可能性があるかもしれない。
日本の若い女性は、増えた手取り分を消費に回すようなことはあまりしなかった。
実は、この5年間で貯蓄が大幅に増えているのだ。
総務省によると、消費支出については、男性が月18万1327円、女性が17万4392円と、相変わらず男性の方が多い。しかし、貯蓄については逆転しており、男性が152万5000円なのに対し、女性は199万8000円もあるのだ。
5年前は、違っていた。男性が166万円だったのが、女性は146万8000円に留まっていた。5年間で50万円以上も貯蓄が増えたのは、いったいなぜなのか。
同省の消費統計課では、「若い女性の将来不安もあるのではないか」とみる。つまり、長引く不況で今の職場にいられるか心配していることに加え、結婚せずに独身を通したときの備えの意味もあるようなのだ。年金支給が危ぶまれていることもあるかもしれない。
このまま女性がお金を貯め続ければ、やがては女性が男性におごる時代が来るのか来ないのか――。