寝た子を起こす「武富士破綻」 同業他社は過払い金返還増に戦々恐々

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   消費者金融大手の武富士が会社更生法適用を申請し、過払い金の返還額の大幅カットが避けられない状況になっている。これをきっかけに、「寝た子を起こす」形で、今後同業他社の利用者も返還請求を急ぐとみられ、業界は戦々恐々としている。消費者金融業界「冬の時代」はまだまだ続きそうだ。

8月末時点で請求している人は約11万人

   武富士は、破綻から1週間後の2010年10月5、6日、東京と大阪で債権者説明会を開いた。利息制限法の上限(借入額に応じて15~20%)を超えて支払った利息(過払い金)の返還を求める利用者やその代理人からは、返還額の大幅カットが避けられないことについて怨嗟の声が上がった。

   武富士の仮払金返還額は毎年1000億円前後で推移してきた。しかし、メーンバンクを持たなかったうえ、業績悪化に伴う格付け引き下げなどで市場からの資金調達も絶たれ、2009年末からは新規融資を事実上ストップ。利用者からの返済や不動産売却益を過払い金の返還に回すという自転車操業が続いていた。

   このため、過払い金の返還を求めてきた利用者に対しても、個別に減額や返還延期を要請してきた経緯がある。債権者説明会に出席した利用者の一人は「武富士は返還額を半額に値切ったうえ、来年5月に返すと約束した直後に破綻した。法的処理は、過払い金を踏み倒すためとしか思えない」と憤る。

   武富士が返還しなくてはならない過払い金は1兆~2兆円。利息制限法と出資法の間の「グレーゾーン金利」で長く貸し出しを続けてきたため、返還額の負担も重い。それでも、8月末時点で請求している人は約11万人(約1700億円)。潜在的な返還対象者はその10倍の100万~200万人もいるという。過去に法的整理した貸金業者の弁済率がたった3%という事例もあり、武富士も更生手続きで「合法的」に過払い金の返還額を大幅カットし、一気に負担を軽くできる。

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