ホンダがフィットハイブリッド(HV)を発売し、プリウスが他を圧倒してきた国内のベストセラー争いは新たな局面に入りそうだ。フィットは2002年にカローラの連続首位記録を34年でストップし、ホンダ初の最量販車種の座を獲得した実績を持つ。今回のマイナーチェンジではガソリンエンジンのベース車にHVを追加し、トヨタの顔となったプリウスの独走に待ったをかけるかが注目される。
迎え撃つトヨタは年内にヴィッツをフルモデルチェンジし、来年末にはHV版を追加する予定。手厚い体制でフィットの挟み撃ちをねらう。
エコカー補助金の終了でプリウスの受注落ちぎみ
フィットHVは2010年10月8日の発表・発売までに1万台を受注。フィットガソリン車の4000台を大きく上回り、快調な出足となった。記者会見でホンダの伊東孝紳社長は「HVの普及に弾みをつけたい」と語った。何年も前から話題になってきただけにユーザーの期待が大きく、事前受注が積み上がったようだ。水平飛行に落ち着いたあとはフィットのHV比率は4割程度とホンダは見ている。
インサイトの189万円に対抗し205万円からという驚きの価格で登場した現行プリウスは9月まで登録車では17か月連続、軽自動車を含む全車種では16か月連続して首位を獲得した。9月実績は2万7249台で、これに続くのはタント1万8583台、ワゴンR1万6661台、フィット1万4622台の順。
プリウスとフィットは2倍の開きがあるが、エコカー補助金の終了でプリウスの受注が落ちていることや、フィットのHV追加とマイナーチェンジ効果、さらには全国2000店余りに試乗車を配備することを合わせれば一気に差を詰める可能性がある。