「面倒くさい」が本音?
「この1か月に性交渉が行われていない」婚姻関係にある日本国民の男女(16歳~49歳)の割合は、2004年は31.9%、06年は34.6%、08年は36.5%――「男女の生活と意識に関する調査」の結果だ。
同調査は、日本家族計画協会の北村邦夫・家族計画研究センター所長らが厚生労働科学研究(厚労省)の一環で実施しているものだ。北村所長によると、「(セックスレスの)増加傾向は今も進行している模様だ」。
08年の同調査結果(有効回答数約1500人)によると、「婚姻関係にある人がセックスに対して積極的になれない理由」の1位(男女合計)は、「仕事で疲れている」。2位以下は、「出産後何となく」、「面倒くさい」と続く。ちなみに「面倒くさい」の内訳は、男性9.3%(3位)、女性18.8%(2位)となっている。
ほかにも、「肉親のように思えるから(性交対象には思えない)」や、セックスの際の痛み、勃起障害への悩みなどを挙げる人たちもいる。
「セックスレスと景気低迷」との関係について、北村所長は「調査からは相関関係は浮かんでこない」と否定的だ。「仕事で疲れている」が何となく「景気低迷」と関係ありそうな気もするが、「ライフワークバランス(私生活と仕事のバランス)」の問題は好景気のもとでも存在する。むしろ好景気による残業増などで一層深刻化する場合もあり、とりあえず景気とは別問題と捉えた方が良さそうだ。
では、北村所長はセックスレスの原因と対策をどう考えているのか。北村所長は「男女間のコミュニケーション・スキルの向上」の重要性を訴えている。意識改革の啓発が必要だというもので、アダルトビデオに代表されるような脅迫的セックスではなく男女ともに楽しめる行為にしていくことや、避妊を男任せにすることによる妊娠への不安からの解放を進める必要もある。勿論、ライフワークバランスの改善も急務だ。
セックスレスを不景気のせいだけにしていては、将来的に「景気は回復したがセックスレスの進行は止まらない」ということにもなり兼ねないのかもしれない。
もっとも、ネットの2ちゃんねるなどには、「奥さんとはセックスレスです。でもセックスはしています」という「大胆」な書き込みも散見される。それでも、英避妊具メーカーによる性行為頻度国際調査(夫婦間に限定しない)で、日本は毎回のように最下層に甘んじている。