高橋洋一の民主党ウォッチ 
「人口減少でデフレになった」 本当かどうかデータから検証する

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「デフレと人口要因は関係なし」

   世界銀行のデータベースには色々なデータがある。これが無料で入手できるのだから、今はいい時代だ。一昔であれば、このようなデータ分析は、大学の図書館で世界銀行の統計書を見ながら、データを転記し、それで分析を行うという手順が必要で、研究者などの一握りにだけ許されていた仕事だ。ところが、今は誰でも自宅でできてしまう。

   いずれにしても、世界銀行データベースには、通貨量の増減というデータもある。通貨量の増減とインフレ率の関係を見ると、両者にはかなりの相関関係がある。これは、経済学で「貨幣数量理論」として知られている。

   要するに、これらの数量分析からいえることは、デフレは、人口要因ではなく、通貨量の増減という貨幣要因であるということだ。

   なお、これらの散布図をみたい人は、このサイト(http://tacmasi.blogspot.com/2010/10/blog-post.html)を参考にされたい。

   これらは、国際的な見地から、デフレの要因を考えたものだ。日本にだけ特殊な事情があればどうなるのか。例えば、各都道府県の人口増減率とインフレ率の関係はどうなのか。これは、総務省のデータベースから調べられる。しかし、人口減少によってデフレになるというデータがでてこない。

   一体どうして、人口要因によってデフレという話なるのか。ひょっとしたら、デフレが意識されだした時と人口減少が話題になった時が似通っているからなのか。そこで、日本全体の人口増減率とインフレ率を過去からさかのぼってみてみた。過去のデータを散布図にしても、やはり、人口減少によってデフレになるというデータはない。


++ 高橋洋一プロフィール
高橋洋一(たかはし よういち) 元内閣参事官、現「政策工房」会長
1955年生まれ。80年に大蔵省に入省、2006年からは内閣参事官も務めた。07年、いわゆる「埋蔵金」を指摘し注目された。08年に退官。10年から嘉悦大学教授。著書に「さらば財務省!」、「日本は財政危機ではない!」、「恐慌は日本の大チャンス」(いずれも講談社)など。


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