合併でハフィントン・ポストに対抗?
9月30日付けで、NWは新たな経営陣を迎えたが、変革の波は編集態勢にも押し寄せそうだ。複数の米メディアは、同誌が新興オンラインニュースメディア「デイリービースト」(DB)と合併するのでは、と伝えているのだ。
DBは2008年10月に、ティナ・ブラウン氏が立ち上げた。ヴァニティ・フェア誌やニューヨーカー誌に携わった女性敏腕編集者で、DBでは編集長も務める。NW売却後しばらくして、「ブラウン氏がNWに興味を示している」との噂が立ち、9月にはニューヨーク・オブザーバー紙の記者が、ブラウン氏が出席した出版記念パーティーで直撃取材を試みているが、「NWなんて、別に関心ないわ」と一蹴されていた。
ところが10月に入ると、米ウォールストリートジャーナル紙などが「合併話は進行中」と報道。英ガーディアン紙は、ブラウン氏が、米ネットニュース「ハフィントンポスト」の創業者、アリアナ・ハフィントン氏に対抗しようと合併を考えているとの記事を掲載した。その直後にブラウン氏は、ライバルと書かれたハフィントン氏と面会し、会話内容をDBに再現してみせた。2人の軽快なトークの中にも、ガーディアンの記事内容を茶化しつつ、核心には触れないようにしている。
実はDBでは、NW売却の発表の翌日に記事を掲載。ワシントンポスト社の「売却に関する覚書」を入手したとして、「米国内、海外、デジタルの主要事業で2008、2009年と連続で赤字」「2010年も2000万ドルの営業損失を予測」などと「暴露」した。そのうえで、ハーマン氏の買収を「心温まるストーリーだ」としつつも、「NW復活の手立てを持ち合わせていない」と断じている。
これだけこき下ろしておいてその後合併話が出てきたことを考えると、この記事は「煙幕」だったのか。DBも、またツイッターにしばしば投稿しているブラウン氏も、沈黙を守ったままだ。