米アップルの多機能携帯電話「アイフォーン(iPhone)4」で指摘された電波受信障害に対応するため、電話機のケースが無料で配布されていたが、2010年9月いっぱいで終了した。事前に告知していた「予定どおり」の動きだ。
だが製品自体が改良されたわけではなく、ケースなしでは同じ問題が発生する可能性がある。今後購入する人は無料配布対象ではなく、不公平さも否定できない。対応を誤ると再び火種になりそうな、デリケートな問題が残った。
バンパー29ドルで販売再開
アップルでは、2010年9月30日までにアイフォーン4を購入した人を対象に、「バンパー」という専用ケースを無料で配布した。この理由は、アイフォーン4の握り方によって電波の感度が鈍り、最終的には受信できなくなる「アンテナ障害」の発生だった。設計上、電話機側面の左下にアンテナが搭載されているとされ、ここを握ることで電波を遮断し障害を起こすと指摘されたのだ。
当初はソフトウェアの更新で解決できるとしていたアップルも、最終的には受信障害を認め、謝罪。米国時間7月16日にスティーブ・ジョブズCEO(最高経営責任者)自ら会見を開いて、電話機の側面を覆うバンパーを無償で配ることで事態の収拾を図った。
この対応策は、日本を含めアイフォーン4を販売する世界各地で実施された。功を奏したのか、9月に入るとアップルは「問題は当初の予測よりも小さいものだった」として、配布対象を9月30日までの購入者に限定すると発表した。電波問題が大きく取り上げられた米国でも、10月に入ると、アップルのオンラインストアでは、まだ注文は受け付けていないものの、バンパーが29ドルと表示され有料販売が再開した模様だ。
しかし、今後アイフォーン4を購入して電波不良が生じた場合は、「自腹」でバンパーを買うなどして対策を講じなければならない。米ネットメディア「ビジネスインサイダー」では10月1日付の記事で、今後についてはケースバイケースで対応するとのアップルのコメントを掲載しているが、一方で「これで電波問題は終結、ということか」と疑問を投げかけている。