大学寮で同性愛「性行為」隠し撮り ネットにさらされ男子学生自殺

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   一人の学生の自殺が、全米で大きく報じられている。自ら命を絶った男子学生は同性愛者と見られ、自室で男性と「性的な行為」をしているところをルームメートがウェブカメラで盗撮、インターネット上でさらしたのだ。

   隠し撮りした2人は「プライバシー侵害」の容疑で逮捕。同性愛者らを標的にした「ネットいじめ」が、改めてクローズアップされた。

「アイツが男とイチャついてるのを見たよ、イェー」

クレメンテ君の死を悼むフェースブックのページ
クレメンテ君の死を悼むフェースブックのページ

   被害者は、米ニュージャージー州にあるラトガース大学1年生、タイラー・クレメンテ君。学生寮の部屋で、男性相手に性的な行為をしている模様をウェブカメラで隠し撮りされ、ネットに流された。

   カメラを設置したのは、クレメンテ君のルームメートのダルーン・ラビ容疑者とその同級生モリー・ウェイ容疑者の2人。米ニューヨークタイムズ紙などによると2010年9月19日、ラビ容疑者はツイッターで、「ルームメート(クレメンテ君)に、夜中まで部屋を空けてほしいと頼まれた。オレはモリーの部屋にいって、ウェブカメラのスイッチを入れた。アイツが男とイチャついてるのを見たよ、イェー」と呟いている。

   クレメンテ君は、自身が同性愛者であることは公言していなかったが、ツイッターやSNSサイト「フェースブック」でたびたび同性愛を匂わせる記述をしていたようだ。盗撮の事実を知った9月22日、橋の上から川に身を投げて自殺。米CBSニュースによると、自殺の前、クレメンテ君は同性愛者向けの掲示板サイトに、「彼(ラビ容疑者)は、僕があんなことしていたのを見たんだ」「大学は多分何もしてくれない」と書き込んでいたと見られる。フェースブックには死の直前、「橋から飛び降りる。ごめん」と最後のメッセージを寄せていた。

同性愛者に対する米国のネットいじめは深刻

   クレメンテ君の自殺は、全米で論議を呼んだ。特に同性愛者の団体は敏感に反応。団体の一つ「ガーデン・ステート・イクオリティー」のスティーブン・ゴールドスタイン会長は、今回の盗撮は人種や宗教、性にかかわる偏見が原因で起こる「ヘイトクライム(憎悪による犯罪)」だと、米メディアの取材に対して容疑者を非難する声明を出している。

   ネットにおけるいやがらせは、米国でも深刻な問題だ。AP通信によると、2003年以降、11~18歳の少なくとも12人が自殺を遂げているという。例えば06年、13歳の少女がSNSサイト「マイスペース」上で友人となった「少年」から突然、悪質なメッセージを送りつけられ、ののしられることを苦に首をつって自殺。「犯人」は少年になりすました同級生の母親だったという。

   同性愛者に対するネットいじめは、さらにひどい。アイオワ州立大学のウォーレン・ブルーメンフェルド教授が2010年3月に発表した調査結果によると、同性愛者や両性愛者、トランスジェンダー(性的違和を感じる人)のうち半数以上の54%が、調査の日から30日前までの間にネットいじめの被害を受けたと回答。さらに26%の人が、ネットいじめが原因で自殺を考えたと答えた。

   米国時間10月3日、クレメンテ君が通っていたラトガース大学では、数百人の学生が集まり、ろうそくのともし火を手に追悼の祈りを捧げた。クレメンテ君が自殺の直前にメッセージを寄せたフェースブックには、「タイラー・クレメンテをしのぶ」というページが設けられ、「安らかに眠ってください」「君の死は本当に悲しい出来事だ」などと、頻繁にメッセージが書き込まれている。

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