菅内閣の支持率が急落している。読売新聞と毎日新聞、産経新聞の世論調査では、いずれも大幅に下落した。2010年9月の世論調査では6割を超えていたが、わずか半月足らずで10ポイント以上急落した。
一方、民主党の支持率は約3割と、前回調査時と比べてほぼ横ばいを維持している。ただ、2010年10月4日に、資金管理団体「陸山会」の土地購入をめぐる事件で東京第5検察審査会が小沢一郎前幹事長を「起訴すべき」と判断したことで、今後の支持率に影響が出てくる可能性もある。
逮捕の中国人船長の釈放「不適切」7割超す
読売新聞が2010年10月1~3日に行った世論調査によると、菅内閣の支持率は前回調査の66%から53%に低下した。毎日新聞は64%から49%、産経新聞とFNN(フジニュースネットワーク)の共同調査では64.2%から48.5%と、50%を割り込むほど急落。内閣支持率は、民主党の代表選を前にした8月下旬の水準に逆戻りした。
原因は、尖閣諸島沖での中国漁船衝突事件への対応だ。那覇地検が中国人船長を処分保留のまま釈放した判断について、「適切でなかった」と回答した人は、読売新聞で72%、毎日新聞で74%、産経新聞では70.5%と、いずれも7割を超えた。
また、中国人船長の釈放の決定について「検察当局が判断した結果」とする、政府介入がなかったとの説明に対して、「納得できない」と答えた人は、読売新聞で83%、毎日新聞は87%だった。
さらに尖閣諸島をめぐる事件で、「中国へのイメージが悪くなった」と答えた人は、毎日新聞で44%。産経新聞では79.7%。なかでも、20歳代の男性で87.0%と高かった。読売新聞は「中国を信頼していない」と答えた人が、「あまり信頼していない」「まったく信頼していない」とあわせて84%に上った。
民主、自民 支持率ともに「横ばい」
対中感情は悪化していが、中国との関係については世論も揺れ動いている。読売新聞が「日本と中国の関係をどうすべきか」聞いたところ、「関係改善を急ぐべき」と答えが31%を占めたが、「しばらく距離を置くべきだ」も31%、「関係改善より、日本の主張を優先すべきだ」とのする回答も35%を占めた。
中国との関係をにらんだ対応として、産経新聞が「日米同盟を強化すべきか」聞いたところ、「強化すべき」との回答は48.9%あったが、「現状のままでよい」も33.3%だった。
一方、菅内閣の支持率が急落する中で、民主党の支持率はあまり下がっていない。毎日新聞の世論調査では「支持する」が31%で、前回調査時よりも3ポイント低下に踏みとどまった。読売新聞の調査によると、民主党の「支持」は36%と前回調査時と変わらなかった。
自民党を「支持する」と答えた人は、毎日新聞で14%と前回よりも1ポイント減った。読売新聞は前回と変わらず16%だった。野党も国民の政府・与党への不満を吸収できずにいる。