トヨタと開発中の次世代スポーツカーにも搭載
だが、より趣味性の高いスポーツバイクの世界では、独BMWとホンダが水平対向エンジンを現在も生産していることからも、水平対向エンジンの優秀性がわかる。セスナなど世界の主な軽飛行機も、ほぼ例外なく水平対向エンジンを搭載している。
スバルの新型水平対向エンジンは、1966年発売のスバル1000に始まるEA型が第1世代、89年発売の初代スバルレガシィに始まるEJ型が第2世代に当たり、今回の第3世代は21年ぶりの刷新となる。スバルは「構造を基本骨格から全面的に刷新し、軽量コンパクト、低重心、優れた振動バランスなどの強みはそのままに、環境性能と全域のスムーズな加速といった走行性能を高次元で両立した」と説明。「将来、新たな環境対応を視野に、発展性を考慮した設計とした」とも語っており、2012年に投入するレガシィのハイブリッド車にも対応していることを示唆している。
この次世代エンジンは、トヨタ自動車がスバルと開発中の次世代スポーツカー「FT-86」(仮称)にも搭載されるのは確実だ。トヨタは、燃費がネックとされる水平対向エンジンの燃費向上をスバルに要求したと伝えられており、今回のエンジンがスバルの回答と言える。
最近の自動車が「白物家電」に近づき、メーカー間の個性が失われつつある時代に、スバルの水平対向エンジンはマツダのロータリーエンジンと並び、強烈な個性を放つ存在であることは間違いない。ハイブリッド技術だけでない、日本メーカーの誇りでもある。