経済成長を続ける中国への日本からのODA(政府開発援助)に「中止すべきだ」との議論が噴き出してきた。中国がGDP(国内総生産)でも日本を「追い抜く」までになったことに加え、尖閣諸島を巡る中国政府の強硬姿勢への反発が火をつけた形だ。ドイツや英国にも中国への支援を見直す動きが出始めている。
「未だに払っているODA『40億円』を引き揚げろ」。こう見出しをつけて報じたのは、週刊新潮の最新号(2010年10月7日号)だ。
ネット・アンケートでは「不必要」が圧倒的
新潮記事は、いまも続いている無償援助・技術援助は、中国に国際ルール遵守を促す側面もあるはずだと指摘。その上で尖閣沖漁船衝突事件に触れ、「せっせと中国人に金を与え、その結果が(略)国際ルール無視の狼藉とあっては、出来の悪いブラックジョーク」と皮肉った。年に「40億円以上」使っても「効果」はないじゃないか、という指摘だ。
対中ODAに関するインターネット・アンケートをのぞいてみると、参加者は多くはないが、厳しい見方が圧倒的のようだ。「人気ブログランキング」というサイトでは、9月20日から調査を始めた。「GDP世界第2位の中国相手にODAは必要なのでしょうか」との問いに、「不必要」との回答が約96%だった(10月1日午後、参加約170件)。コメント欄では、軍事的に拡大路線をとっている中国への反発も見受けられた。
またライブドアのアンケート(8月11日~)では、選択肢が多いものの、「かまわない、このまま援助」と肯定的なのはわずか1%で、大半は否定的な選択肢への回答だった(10月1日午後、参加約400件)。
日本での対中ODA不要論を先取りするような動きも出ている。AP通信は9月26日、中国への支援見直し問題を取り上げた長めの北京発記事を配信した。対中援助額が日本に次いで大きいドイツと3~4位の英国が、近く中国への援助を「減らす、もしくは段階的に停止する方向」と報じた。北京五輪や上海万博への金の使い方をみると、中国への援助の必要性を国民に納得させるのは難しい、との英国政府関係者の声も伝えている。