サイパン島などを管轄する米自治領の北マリアナ諸島の政府が、機能停止の危機に直面している。そのきっかけは、財政問題。経費削減の方法が主な争点で、新年度予算案の成立が危ぶまれており、このまま合意が得られなければ、10月からの新年度予算の執行が事実上できなくなり、急を要さない行政サービスが停止する前代未聞の事態だ。これまでの財政赤字を先送りしてきた結果としてもたらされた事態で、日本にとっても必ずしも他人ごとではないかも知れない。
上院と下院で経費削減めぐり対立
北マリアナ諸島では、これまで赤字財政が続いており、年度内に次の年度の予算が通らなかった場合でも、前年度の予算を持ち越す形で処理されてきた。ところが近年の憲法改正で、赤字公債に依存しない「均衡予算」が議会を通過しない限り、予算執行を伴う政府機能が停止(shutdown)してしまう規定になった。この変更が、大きな混乱をもたらしそうだ。
北マリアナ諸島の政府では、新しい会計年度が始まるのは10月1日。つまり、それまでに新年度(11年度)の予算案を通過させる必要があるのだが、上院と下院との間で、経費削減の方法に合意できない状況が続いている。具体的には、公務員の勤務時間をどの程度短縮するかについて対立。9月27日に行われた予算委員会では、途中退席が相次いだ。
停止の対象になるのは、比較的不要不急だとされる行政サービスで、ビニグノ・フィティアル知事は9月27日、停止の対象から除外される施設の一覧を発表した。大学や医療サービスは停止の対象にならないが、必要最小限の機能しか果たさなくなる。さらに、1400人以上の公務員に給料が支払われなくなる。