家賃の月額が最高で531万円もする超高級マンション「ラ・トゥール代官山」が完成し、お披露目された。東京・代官山にあるこのマンションは住友不動産が売り出すもので、2010年10月から入居できる。
景気が低迷するなかで、月額531万円もの家賃を払う住人とはいったいナニモノなのか、気になるところだ。
「最高峰」の賃貸マンション
「ラ・トゥール代官山」は、JRや地下鉄などが乗り入れる渋谷駅と東急・東横線の代官山駅から徒歩8分。周辺はマレーシアやギニアなどの大使館が多い、閑静な高級住宅地だ。
家賃は、最低でも月額92万円。平均専有面積240平方メートルで、平均賃料は181万円。7階建ての最上階にあるペントハウス(13戸)のうち、500平方メートル超の住戸の賃料は、531万円というから破格だ。
住友不動産は2000年6月の芝公園を皮切りに、高級賃貸マンションの「ラ・トゥール」シリーズを展開。代官山は16棟目にあたるが、「10年の節目に当社を代表する、最高峰の物件を手がけることができた」(永山貴・賃貸住宅事業部長)と胸を張る。
都心の超高級賃貸マンションは六本木や麻布、広尾、白金、高輪などを中心に展開しているが、531万円の賃料は「都心でもあまりみられず、おそらく過去最高額」と話す。
敷地は約1万5000平方メートルと広く、四季折々の木々が楽しめる中庭を囲むように住戸を配した。正面ゲートには24時間365日体制で「門番」が立ち、賃貸マンションとは思えぬほどの広いエントランスホール、バイリンガルのコンシェルジュが、こちらも24時間365日常駐して来客の受付やメッセージの取り次ぎに応じる。
また、海外旅行に出かけるときや、荷物が多い時にはポーターが荷物を運んでくれる。共用施設は24時間利用できるフィットネスルームやパーティールーム・ラウンジ、キッズルームを用意。屋上テラスではバーベキューが楽しめる。
13戸のペントハウスのうち5戸が入居決定
住友不動産は「少子高齢化や景気低迷の中でも賃貸志向は少なくない。自分のライフスタイルにあった住まいを求めている人が多く、住み替え需要も高い。将来性はある」(永山部長)と意気込む。入居は10月から可能だが、現在の契約状況は139戸のうち、申し込みがあったのは約30戸。このほかに、検討中の住戸もあるという。
それにしても、いったいどんな人が住むのだろうか――。入居予定者は、30歳代から40歳代が中心で、企業のオーナーが多い。夫婦と、子どもはいても一人か二人の小所帯だ。
金融関係をはじめ、仕事で日本に滞在する欧米人も少なくない。
ラ・トゥール代官山・佐伯和則所長は「六本木や白金・高輪界隈の超高級マンションも築年数が5年超の物件が増え、水まわりなどのスペックが古くなってきたこともあって、そこから移って来る方もいらっしゃいます。外国の方は、エントランスの広さやパーティールームなどを気に入られているようです」と話す。
平均320平方メートル超で13戸あるペントハウスは、すでに5戸が決まっている。この中には「最高峰」の、531万円の住戸も含まれていて、5戸のペントハウスにはいずれも日本人が住むという。
家賃531万円の住人は、やはり都心からの「転居組」で、30歳代後半の企業の、「やり手」経営者らしい。