病院・診療所以外で出産する割合は0.2%程度
では自宅出産にはどんなメリットがあるのか。日本助産師会専務理事で安全対策室長の岡本喜代子氏に聞くと、「お産で重要な、リラックスした状態を保てること」を挙げる。普段どおりの毎日を過ごせれば、慣れない病院生活と比べて余計な心配ごとから解放されるだろう。出産間近で不安な時期でも、すぐ近くで家族が見守っていてくれることも、心強いはずだ。
とは言え昨今、高岡さん姉妹のような「自宅出産派」はごく少数だ。自宅を含めた病院・診療所以外の施設で出産する割合は、0.2%程度だという。これは、1998年度の「厚生白書」で示された数字と変わっておらず、ここ数年は低い水準が続いている。
自宅で生むといっても、妊娠から出産までは定期的に医師の診察や検診を受ける必要がある。また岡本氏によると、自宅出産はあくまで母体が健康なケースに限られている。お産を手がける助産師は看護師の資格をもち、出産時には複数で対応する。地域の医療機関とも常に連携する
「お産のプロ」の助産師だが、自宅出産の場合は医師がいないため、医療行為が必要な事態になれば病院に搬送せざるをえない。何か起こったらすぐ医師が駆けつけられる病院と違って、搬送に一定時間を要するのが「リスク」として存在することは事実だ。岡本氏は「自宅出産を選ぶなら、妊娠中の検診を必ず受けて健康体を保ち続けることが重要だ」と話している。