スマートフォンの分野では最後発のKDDIが、経営陣の交代が発表されたのを機に、反撃に転じる模様だ。同社は、「未来へ行くなら、アンドロイドを待て」という刺激的なキャッチフレーズを掲げたキャンペーンを始めたばかりで、近くシャープ製のスマートフォンを発表するとみられている。
2009年のスマートフォン市場は、iPhone(アイフォーン)の「一人勝ち」状態だった。調査会社のシード・プランニングの調査によると、09年度時点ではスマートフォンに搭載されているOSの63.8%がiPhoneのOSだ。
「一般の携帯電話に少し固執してしまった」
ただし、今後はグーグル社のOS「アンドロイド」を搭載した機種がシェアを伸ばすとみられており、同社の予測によると、15年度にはアンドロイドのシェアが47.3%、iPhoneが36.9%と勢力が逆転する見通しだ。
iPhoneが好調のソフトバンクモバイルは、10年春にはHTC製のアンドロイド端末を投入。ドコモが同時期に発売した、ソニー・エリクソン製のアンドロイド端末「エクスペリア」(Xperia)も人気だ。
最後発がKDDIだ。10年3月30日には、個人向けスマートフォン「ISシリーズ」2機種を発表。この時発表されたのが、同社としては初めてのアンドロイド端末(シャープ製)だ(他1機種は東芝製のウィンドウズ・モバイル搭載端末)。
しかし、「出遅れ感」は否めず、10年8月時点での携帯各社の累計契約数のシェアを見ると、NTTドコモが49.5%、KDDIが28%なのに対して、ソフトバンクは20.2%と初めて2割を超え、KDDIとの差を詰めている。
同社は10年12月1日付けで、社長が小野寺正氏から田中孝司氏に交代するが、9月10日の社長会見でも、「出遅れ」が指摘されている。小野寺社長は、
「スマートフォン市場において出遅れたことは事実。一般の携帯電話に少し固執してしまったことが一つの原因だ」
と反省の弁を述べる一方、田中次期社長も、KDDIが市場環境に即応できなかった点のひとつとして
「スマートフォンに対して着手が遅れたという点」
を挙げた。
10月4日に「アンドロイド第2弾」披露?
だが、社長交代を機に、反撃に転じる考えのようだ。9月24日には、前出の「ISシリーズ」の特設サイトをリニューアル。「未来へ行くなら、アンドロイドを待て」とのキャッチフレーズを掲げた。サイトには、
「auの次のAndroidは正直気になるし欲しい」
「auのandroidが待ち遠しい」
といったツイッター上の声が表示されるデザインになっている。テレビCMも始まっている。
同社では、新アンドロイド端末が発表される時期については明言していないものの、10月4日にシャープと共同で新製品の発表を予定している。この発表会で「アンドロイド第2弾」のお披露目がされるとの見方が有力だ。
同社は、10年3月の「第1弾」発表時点で、10年秋から冬に「アンドロイド第2弾」の発売を目指す意向を表明しており、ワンセグや、「おサイフケータイ」機能を搭載する意向も明らかになっていた。このことから、今回発表されるシャープ製の新機種にも、これらの機能が搭載されるものとみられる。
新製品は、10月5日から9日にかけて幕張メッセで開かれる家電展示会「CEATEC」(シーテック)でも展示される予定で、来場者の注目を集めそうだ。