記録的な猛暑が続いた2010年の夏。強烈な太陽の光が降り注ぎ、紫外線が気になった人も多いはずだ。
帽子や日傘を使っても、紫外線を完全に防ぐのは困難。海水浴で日焼けしたり、屋外に長時間いたりして肌に「紫外線ダメージ」を受けることもある。化粧品を使う対処法もあるが、必要な栄養素を摂取して「体の中からケア」する方法も見られる。最近では、意外な食品が注目を浴びているようだ。
活性酸素が細胞を酸化
紫外線ダメージには、肌荒れやシワといった肌のトラブルがある。これは、紫外線によって活性酸素が必要以上に増加することが原因だ。活性酸素は、細胞を覆う膜に含まれる「不飽和脂肪酸」と結合して酸化を引き起こし、サビのようになって細胞を傷つける。このため細胞のはたらきが落ち、肌にダメージを与えるという仕組みだ。
このサビは老化ともかかわりがあると言われ、酸化が進行すればがんのような深刻な病気の原因にもなりうる。また、細胞のはたらきが低下すると免疫力が落ちるため、疲労や体調不良につながる。
酸化を抑えるうえでは、必要な栄養素を摂取することで体の中から防ぐ方法が挙げられる。活性酸素のはたらきを抑制するといわれるのが、ニンジンやトマト、カボチャに多く含まれる「ベータカロテン」だ。紫外線の強い場所に長時間滞在することが事前に分かっていれば、先にベータカロテンを含む食品を多めに食べることで「紫外線予防」にもなるだろう。
抗酸化作用のある栄養素には、ビタミンCやビタミンEも有効のようだ。ほうれん草、レモン、ブロッコリーなどの野菜や果物に多く含まれ、両方のビタミンを一緒に摂取することでより効果的に作用するといわれる。
腸内の免疫細胞のはたらき活発になる
それでも、「夏バテ」のように紫外線ダメージで細胞が弱り免疫力が落ちている状態では、消化機能も弱ってまともな食事がとれない。そのための「秘密兵器」がヨーグルトだ。
元茨城キリスト教大学教授で栄養学博士の落合敏氏は、「細胞のダメージを回復させるためには、カルシウムやたんぱく質を取り入れるうえで消化吸収しやすいヨーグルトは最適」と話す。また、免疫細胞は腸に多いが、ヨーグルトに含まれる「善玉菌」には腸内環境を整えるはたらきがあるので、免疫力が高まり、細胞のはたらきも活発になるというわけだ。
落合氏によると、1日に必要なエネルギー量は、年齢や性別など人それぞれ異なるが、ヨーグルトは「できれば朝、昼、晩とバランスよく食べるとよいでしょう」と勧め、「毎日とりたい食品のひとつ」と強調する。
夏の暑さと強い紫外線、さらに最近の気候の急激な変化のせいで、体の疲れがたまっているこの時期。弱った細胞の回復のために、体の中からのケアを試してはどうだろうか。