「長寿企業」日本一の京都府 秘訣は「過去の成功体験に縛られない」

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   創業から100年以上の「長寿企業」の割合が最も高い都道府県は京都府であることが、帝国データバンクの調査でわかった。京都府内で創業100年以上の企業は1023社あり、法人・個人経営を含めた企業全体(約2万6000社)に占める割合は3.82%と全国トップになった。

   帝国データバンクは「古くから独自の文化を育み、多くの企業を輩出してきた京都は、時代を超えた価値観を守るだけでなく、進取の気風を大切に、変革を恐れない土壌が企業存続の背景にある」とみている。京都からは京セラ、任天堂、ワコールなど、存在感ある企業が生まれているが、長寿の秘訣と関係があるのかもしれない。

上場企業で最も創業古いのは「松井建設」

   調査は帝国データバンクが収録する全国約130万社の企業データベース(2010年8月時点)を基に、初めて集計した。京都府に次いで長寿企業の割合が高かったのは新潟県と山形県で、同率の3.35%。以下、島根県(3.33%)、長野県(3.14%)、滋賀県(2.98%)、福井県(2.93%)、三重県(2.69%)、富山県(2.60%)、福島県(2.54%)と続いた。

   創業100年以上の企業は全国に2万2219社あり、このうち上場企業は347社。創業が確認できた企業のうち、最も古かったのは、寺社仏閣建築の「金剛組」(大阪市)で、西暦578年。「聖徳太子が四天王寺建立のため百済から招いた工匠が始祖」という。2位は生け花教授で著名な「池坊華道会」(京都市)で587年、3位は老舗旅館の「西山温泉慶雲館」(山梨県)で705年。最古参ベスト10のうち、京都府の企業は3社を占め、最多だった。上場企業に限ると、最も創業が古いのは「松井建設」(東京都)の1586年だった。

   創業100年以上の2万2219社を都道府県別に単純に集計すると、絶対数が最も多いのは東京都の2058社。以下、愛知県1211社、大阪府1080社、京都府1030社、新潟県1011社と続き、創業が古い企業ほど大阪府や京都府に多い傾向がわかる。

京都府の場合、創業500年以上も3社

   京都府の場合、創業から100~110年が292社で、約3割が明治後期に誕生しているが、200年以上が122社、500年以上も3社あるなど、歴史の厚みを感じさせる。

   京都には現在も、京セラ、ローム、日本電産など電機部品メーカーを中心に、世界でも競争力のある企業が存在する。任天堂、ワコールなどもある。ある電機メーカーの関係者は「京都の企業が強いのは、敢えて東京から離れ、伝統ある京都に拠点を置きながらも、絶えず世界のライバルと競争しているからだ」と解説する。京セラなど戦後に誕生した新興企業も多いが、存在感では東京の企業に負けていない。

   帝国データバンクは企業存続の秘訣を「変化への対応力」と結論づけている。「多くの戦乱や産業構造の変化など、困難を乗り越える原動力は、事業の本筋を守りながらも、過去の成功体験に縛られず、変化を恐れない姿勢に集約できる」という。景気の先行きが不透明で、産業構造が変化する今こそ「京都の長寿企業に学ぶべき点は多い」と指摘している。

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