TBS系の人気深夜アニメシリーズ「けいおん!!」の第2期放送が、ついに最終回を迎える。同作品をはじめとして、ここ数年は地方でもアニメをめぐる「特需」とも言える現象が起こっている。特に、徳島市では、2009年からアニメの祭典が開かれ、毎回数万人が来場。大きな盛り上がりを見せている。
舞台が観光名所、大きかった波及効果
「けいおん!!」は、軽音楽部に所属する女子高生の日常生活を描いた作品で、2010年9月28日深夜(9月29日未明)に最終回を迎える。実は9月14日深夜の放送でも「最終回」とされる内容が放送されたが、翌週の9月21日深夜にも「番外編」といった位置づけの内容が放送されていた。9月14日と21日のテレビ欄と違い、9月28日には「(終)」の表示があることから、同日の放送で、第2期の放送が「完全終了」する模様だ。
同シリーズをめぐっては、主題歌のCDがヒットチャートにランクインしたり、作品に登場する学校のモデルとされた学校が、事実上の「観光名所」化したりするなど、波及効果も大きい。
同シリーズ終了直後に徳島市で開かれるアニメの祭典が、09年から始まった「マチ☆アソビ」だ。徳島市内の眉山山頂などで開かれる。「けいおん!!」で平沢唯役を演じた声優の豊崎愛生(あき)さんが、イベント会場でもある眉山のロープウェーの案内テープを吹き込むなど、イベントに華を添える。
同イベントが行われるのは、今回が4回目。このイベントの仕掛け人は、東京のアニメ制作会社「ユーフォーデーブル」。同社の近藤光社長が徳島市出身なのが縁だ。09年4月には、分室との位置づけで徳島市内にスタジオを開設してもいる。
前回イベントには1万8000人が来場
今回は10月9日から11日にかけて行われる予定で、声優やクリエイターによるトークライブや、アニメの声優を募集する公開オーディションが企画されている。アニメキャラをペイントした「痛車」「痛バイク」「痛チャリ」の展示イベントも行われる。
徳島県の観光戦略局にぎわいづくり課によると、初回の09年10月には1万2000人、2回目の10年1月には2万1000人(16日間開催)、3回目の10年5月には1万8000人(3日間開催)のアニメファンが全国から集まった。東京以外のアニメイベントで、これだけの規模での集客は異例で、県では「前回の『1万8000人』超えを目指せればいいですね」などと意気込んでいる。
同イベントを主催する徳島市観光協会では、09年から2年連続で阿波踊りのポスターにアニメキャラを採用。盗難が続出し、ヤフーオークションでは、最高2万7000円の値段が付いている。県内でも、アニメに対する注目度は高いようだ。
県では、08年には「情報通信関連事業立地促進補助金」の制度を立ちあげ、コールセンターやデータセンター、アニメなどのデジタルコンテンツ産業の誘致を進めている。「アニメの聖地」としての徳島県への期待が一層高まりそうだ。