突然、左に大きく舵を切りそのまま向かってきた
巡視船「みずき」が、なおも逃走する中国漁船の前に回り込み、停船を呼びかけたときのことだ。
右後ろ約70メートルのところにいた漁船が突然、左に大きく舵を切り、みずきにそのまま向かってきた。そして、みずきの右舷中央部に漁船の船首が衝突したのだ。しかし、漁船は、さらに逃走を続けた。
この衝突で、みずきの右舷には、中央の外板にへこみができ、長さ約3メートル、高さ約1メートルにわたって傷がついた。そのうえ、中央から後方にかけて、甲板の手すり支柱が5、6本も曲がって破損している。
「巡視船は、スピードを出す構造上、船体の鉄板が薄くなっています。漁船は、本体がダメージを受けるため、接近時はスピードを出しませんが、それでも硬い船首がぶつかれば破損してしまいます」(広報担当者)
今回も、意図的かどうかは不明だが、急所を突かれた形だ。計2回も衝突したものの、硬い船首のある漁船には、ほとんど損傷はなかった。
海保では、証拠を出さないと裁判で勝てないため、2回ともビデオに収めてある。
「海上保安官は、船外の高いところからビデオを撮っていました。それは、もちろん命がけの作業ですよ。証拠物になりますので、裁判前には公開できませんでした。しかし、ビデオが戻ってきたときは、まだ分かりませんが、公開も視野には入れています」