2018年までに販売3倍増 VWの野心的目標は可能か

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日本市場だけにエコカー減税対象車を設ける

   トヨタ販社のVW事業は、トヨタの傘の下ということもあり、各社がトヨタ車の販売で培った独自の営業ノウハウをDUO店に持ち込んでいる。またVW車をトヨタ車から離れようとする顧客の受け皿と位置付けてVW事業の成長に力を入れないケースや、近隣のVW店との販売競合、経営規模が小規模なVW店に比べてトヨタ販社の人件費が高いことなどにより、利益を生み出せないDUO店もあった。

   このためトヨタもトヨタ販社に対してDUO店の運営コスト見直しを求め、独立採算制導入や別法人化を推奨。赤字が続くDUO店は閉鎖させるなど、販売網の再編を進めてVW事業の発展に取り組んでいた。

   このようななかでのトヨタのDUO事業終了は、トヨタ販社のなかで利益を出せないVW事業を淘汰することにもなり、VW車の販売力がある販社と店舗だけがVW店に移行する形となった。

   しかしVGJ側とトヨタ販社では、VWユーザーに対するアフターフォローや新車代替案内のタイミングをはじめとする販売手法、VW事業としての中古車販売に対する取り組み姿勢など、VW事業に対する基本的な考え方や運営手法で異なる部分がある。また店舗への部品供給の回数が1日2回から1回に減ることに伴う整備作業の流れの変更もある。

   VGJがVW店に導入させてきたVW事業の手法は、ドイツメーカーらしい枠が決まった流儀が基本。VWのCIで飾られた店舗の中にトヨタ流を持ち込んでいたDUO店は、VGJが求めるVW流のやり方に馴染めずに混乱するとの恐れも出ている。これまでVGJはDUO店の実力を把握していなかったこともあり、VW店へと移行するDUO店の実力測定に初めて取り組み始めた。

   人口問題や景気の先行きの不透明さなどから、将来的に新車市場の拡大は見込めない状況下、外国メーカー車の販売で「年間11万台は夢の話、複数のヒットが続けば最大6万台がいいところ」と笑う業界関係者は多い。だがVWは実現可能とみて販売実績が少ない日本市場に新商品を投入する計画を立てた。その一環として日本市場だけのためにゴルフ、ポロ、シロッコにエコカー減税対象車を設け、2011年にはミニバン、その先にはVW最小サイズのコンパクトカーなどの発売も予定している。

   年間11万台の新車販売計画が笑われるのは、市場のなかでVW車が輸入車の入門車とみなされ、日本車からVW車に乗り換えたユーザーがVW車に代替えするのではなく、他の外国メーカー車に乗り換えたり、日本車に戻ってしまう比率が高い状況が続いてきたことが最大の要因だ。

   これはDUO店、既存のVW店、VGJ、VWのすべてに問題がある。VWユーザーが販売・サービス対応の点でVW車に乗り続けることに満足できなかったことや、日本車に比べて販売車種構成が貧弱な点、ブランドイメージを向上させるための努力不足もある。今後、VWとVGJが11万台に向けてどのような成長戦略を示すかが注目される。だが当面の最大の課題は、既存のVW店とDUO店から移行の新VW店の顧客対応力を高め、両者の新たな協力・競争関係をどのように構築していくかにある。11年の新生VW販売網のスタートが、日本におけるVWの将来を占うことにも繋がっている。

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