ライバル韓国はEUとも合意
インドとのEPA実質合意にこぎつけた日本だが、全体に大きく出遅れており、他国・地域との自由化交渉が一気に進展するメドは立っていない。交渉で常にネックになるのが日本の農業市場開放問題。日本が得意の工業製品(部品などを含む)の関税を撤廃してもらうには、相手国の輸出したいものを日本が買う際の関税をなくすなど譲る必要がある。
しかし、国内農家が農業の市場開放に強く反対していて、簡単に進まない。日本がこれまでEPAを結んだのは、インドを含め、農業分野の開放を強く求められなかった国ばかり。交渉中の国の中でも、農業分野も含めて合意が見込めるのはペルーぐらいしか残っていないといわれ、農業が主要テーマである米国や豪州などとの溝は簡単に埋まりそうもない。
足踏みする日本を尻目に、ライバルの動きは速い。韓国は、インドをはじめ主要な国・地域と相次いでEPAなどの自由化協定を締結、欧州連合(EU)ともFTA締結に合意した。元々、日本と同様に農業保護の観点からEPAに消極的だったが、前政権が2007年に米国との交渉で、EPA推進に方向転換。国内の農家などの反対論を押し切った。現政権も同様の路線を堅持している。
韓国は自動車、家電など主力輸出品が重なる日本は、「周回遅れ」の様相で、自動車の現代、電機のサムスンなど韓国勢の攻勢に、国際市場で厳しい戦いを余儀なくされている。農業市場をどこまで、どのようなテンポで開いていくか、日本は厳しい判断を迫られている。