B-1グランプリで優勝した山梨県・甲府市のご当地グルメ「鳥もつ煮」が大人気だ。家庭で簡単に調理できる「鳥もつ煮セット」などが、県内だけでなく東京でも売れており、地元食品会社も急ピッチで製造を始めた。
ご当地グルメの祭典「B-1グランプリin厚木」が2010年9月19日から20日にかけて神奈川県厚木市で開催された。
鳥もつ煮総菜、普段の10倍売れる
B-1グランプリは06年に第1回が開催され、今回は過去最大となる46団体が参加。その中で優勝を果たしたのが甲府の「鳥もつ煮」だ。鶏のモツを醤油と砂糖で照り煮にしたもので、甲府市内のそば店では定番のメニューとして広く親しまれている。 「B-1」優勝の影響で甲府市内のそば屋に客が殺到しているというが、家庭で食べる用の「鳥もつ煮セット」も売れているという。
山梨県内で十数店舗のスーパーマーケットを展開している「いちやまマート」では09年から鳥もつ煮の総菜や、肉とタレが一緒になった「鳥もつ煮セット」を販売している。担当者によると、「B-1」1日目の19日の中間発表で1位になったころから急に売れ出し、優勝決定後の21日には「鳥もつ煮セット」が普段の5倍売れて品切れ。総菜も通常の8~10倍売れたという。「これがB-1効果でしょうか。凄いですね」と驚く。
製造食品会社に問い合わせ殺到
東京でも同様だ。日本橋にある甲府市のアンテナショップ「富士の国やまなし館」では、フライパンで簡単に調理できる鳥もつ煮冷凍セットを販売している。グランプリが開催された19日から20日で全て売り切れてしまい、21日に急遽50個入荷したが、それも直ぐ完売した。担当者は
「1つのビジネスチャンスとして捉えているので、ポップを作り、積極的にPRしています。老若男女様々な方が買っていかれますね。この辺りは会社のオフィスも多く、サラリーマンの方が昼休みに買っていくケースもあります」
と話す。鳥もつ煮人気の影響で、信玄餅といった他の商品もよく売れているという。
冷凍セットを製造している武田食品(山梨県)も大忙しだ。「B-1」優勝後、県内外から問い合わせが殺到。既存の取引先からも、普段の3~4か月分ぐらいの注文が一気にあり、在庫がなくなってしまった。担当者は
「注文に間に合うよう、現在急ピッチで生産しています。私は甲府出身なのですが、これを機会に山梨のものを全国の方々が知ったり、山梨の方にも見直して頂けて嬉しいですね」
と話している。
「B-1グランプリ」では、過去に「富士宮やきそば」(静岡県)や「厚木シロコロ・ホルモン」(神奈川県)などが優勝。優勝すると全国的な知名度を得て、数十億から数百億円の経済効果があるという試算も出ている。
甲府市では、以前から有志職員による「とりもつ隊」が鳥もつ煮のPR活動をしていたが、今回の優勝を受けて21日、副市長をトップとしたプロジェクトチームを発足。観光開発課や政策課など関係セクションが一丸となって普及活動を行っていく、としている。