バンダイナムコゲームスが2011年春発売するゲームソフト「アイドルマスター2(THE IDOLM@STER2)」の内容を変えるべきだ、との批判がネットにあふれ、大混乱になっている。ネット通販「アマゾン」には内容を批判するレビューが殺到して削除されたほか、抗議活動や不買運動を呼び掛ける書き込みも多数現れている。どうしてこんな騒動になってしまったのか。
「アイドルマスター」は、プレイヤーがアイドルを育成し、芸能界で活躍させる育成シミュレーションゲーム。キャラクターに歌や踊り、表情などの「訓練」を行い一流のアイドルにする、というものだ。2005年に業務用のアーケードゲームとして登場し、07年に「Xbox 360」に移植され大ヒットした。アイドルを目指すキャラは13人いて、それぞれに根強いファンが付いている。
愛するキャラが「寝取られる演出が」と心配
騒動のきっかけになったのは東京幕張で2010年9月18日に開催された「東京ゲームショ-」。ここで2011年春に発売される「Xbox 360」用の「アイドルマスター2」の内容が発表され、ファンは騒然となった。前作のキャラ13人はそのまま登場するのだが、うち4人は育成できない。この4人のファンにとっては大ショックだ。
また、ファンは全てのキャラを育成する場合が多く、それぞれのキャラに思い入れがある。しかし「2」では、キャラ同士を競わせアイドルの頂上を目指すシナリオになっていて、「なぜ好きなキャラ同士が戦わなくてはいけないのか」という批判が出た。
最も批判の対象になっているのがイケメングループの3人。男性アイドルが出るのは初めてで、「寝取られる演出があるのではないか」と騒然となった。
ウェブサイトに掲載された開発者のインタビューでは「恋愛」や「寝取られ演出」はないと断言しているが、恋愛の描写がなければいいという話ではなく、「可能性を生み出しただけでアウトなんだよ」とネットで批判が広がった。
こうしたことからバンナム社に「2」の内容を変えさるための抗議活動をしよう、不買運動をしよう、というファンまで現れた。また、バンナム社に対し内容証明付きで変更を要望する書面の画像もアップされている。
「アマゾン」の商品ページには最低評価である星1つのレビューが殺到した。
「ファンの気持ちを理解しろ。受け止めろ。そうでなければアイマス2はいらない」「キャラ全員が手を繋いでいる写真を見ても今は涙しか出ません」「4人のキャラが使えなくなり、誰も必要としない男性3人が出るなんて改悪です」
「内容を変更する話は出ていない」とバンナム
100近いレビューが出て「炎上」、全て削除されたのだが、現在もレビューに次々に批判が投稿されている。ただ、アップされるとすぐに全てが削除されている。
騒動に拍車をかけたのが10年9月19日の「アイドルマスター」のラジオ放送。この番組には「アイマス」の女性声優と、新キャラの男性声優が登場。まるで恋愛を想像させるトークが繰り広げられ、ファンは一層ヒートアップ。男性声優を批判する書き込みが大量にネットに出ることになった。そのため、「アイマス」の公式ブログに、「最後に、大切なお願いがございます」と断り書きをし、
「一部の方による、出演声優様への『誹謗中傷の書き込み』等が、ネット上にて見受けられます。出演者の皆様に、ご迷惑をお掛けするような行為は止めて頂けます様、何卒、お願い致します」
という注意文が掲載された。
こうしたネットでの騒動をバンナム社はどう受け止めているのだろうか。同社広報は、ネットで様々な批判があることは承知しているとしながらも、
「過去にファンからの要望でゲームソフトの仕様を微調整したことはありました、今のところゲーム内容を変更するなどの話しは出ておりません」
と話している。