「いずれ開発断念するのでは」との見方も
だが、そもそも異なる路線幅を走るというFGTの技術確立は非常に難しいとされており、海外でも実用化例はスペインなどに限られる。国内では1994年に研究開発が始まったが、実用化に対する疑問の声は消えず、「いずれ開発を断念するのでは」(関係者)との見方は少なくない。
今回、技術評価委が「実用化にはレール改良も必要だ」としつつも開発継続を示したことについて、「(断念の)結論を先送りしただけ」と冷ややかに見る関係者さえいる。
FGTの研究開発には既に240億円以上が投入されており、今後、費用負担への批判が高まる可能性もある。2010年8月末、前原誠司国交相(当時)は会見で、長崎ルートの未着工区間(諫早-長崎間)について、「FGTの実用化のめどが立たなければ着工しない」と言明した。国交省自身、FGT開発断念の事態を想定し、着工中の武雄温泉-諫早間も含めた全線を在来線の軌道幅としたうえで、在来線特急を運行させる検討に入ったとも伝えられている。
九州新幹線鹿児島ルート(博多-鹿児島中央間)は2011年3月12日の全線開業が正式に決定し、九州を横断する高速鉄道の誕生が話題をふりまいているのとは対照的に、長崎ルートはFGTの厚い壁の前に立ち往生しているのが現実だ。