大量物資、送料は大使館の「持ち出し」
とは言え、日本から見て地球の裏側にあるチリに、大量の物資を送る費用は大使館の「持ち出し」。都内からチリに航空便で小包を送る場合の料金は、1キロで4600円かかる。善意はありがたいが、モノが増えれば送料も増えることになり、大使館としても複雑な心境だろう。
事務作業もすべて大使館員の手による。例えば、日本語で書かれた手紙はすべてスペイン語に翻訳するが、担当する人数はたったの2人だ。
日本独特のものを送る場合は、説明書きもスペイン語で添えるという。例えば、病気療養中の患者たちが折った千羽鶴が9月21日に大使館に届いたそうだが、これも現地の人が理解できるように説明を入れなければならない。
実は千羽鶴は以前、被災地に送るうえでちょっとした「騒動」があった。カリブ海の国ハイチで2010年1月に大地震が発生した際に、ネット上で「被災者のために千羽鶴を贈って激励しよう」との呼びかけが広がった。ところが「支援するものはほかにあるはずだ」「現地の人は意味を理解できるのか」といった批判が起こったのだ。今回の落盤事故では、「千羽鶴を届けよう」というネットの声はあがっていないようだ。
大使館は「皆さんの優しい気持ちは本当にうれしい」と話すが、ありがた迷惑にならないように送る側も考えたほうがよさそうだ。