南米チリの鉱山で落盤事故が発生し、作業員33人が地下に閉じ込められたニュースは、世界を駆け巡った。作業員やその家族の様子が連日報道される一方、救助のための掘削作業は順調に進んでおり、当初予定より早く救出できそうな見通しも出てきた。
作業員たちを励まそうと、日本からもさまざまな「支援」を差し伸べようとする人がいるようだ。だが以前、被災者への支援の一環で日本から「千羽鶴」を送ろうと呼びかけた人が、「役に立たない」と問題視されたことがあった。善意のつもりが「迷惑」になっていないだろうか。
保冷剤、絵、お守りまで
チリの鉱山で、地下に閉じ込められた鉱山作業員に向けた支援の輪が、世界各地で広がっている。米航空宇宙局(NASA)の医師団や宇宙飛行士の訓練の専門家が、暗く狭い場所ですごしている作業員の暮らし方に助言を与えたり、サッカースペイン代表の選手が自身のユニホームに励ましのメッセージを入れて送ったりしたことが伝えられている。
日本では、大阪府摂津市が市役所内に募金箱を置いて市民に協力を呼びかける。在日チリ大使館に聞くと、企業や一般の人からさまざまなものが送られてきているのだと話す。2010年9月21日時点で届いた手紙やメールなどは200通を超えたとのこと。物資も、災害時用の「トイレ対策」で使われる汚物の凝固剤から保冷剤、絵、扇子、さらには京都の元興寺で入手したカエルのお守りの鈴を33人分送ってくる人もいたようだ。「作業員全員が『無事かえる』との祈りを込めたそうです」(チリ大使館)
大使館によると、「大使は『日本の皆さんからの気持ち。すべてありがたく受け取りましょう」との方針です』と話す。現地に送れるものは、大使館が責任もって作業員の関係者のもとに届けるとのことだ。