神戸市立王子動物園で飼育されていたジャイアントパンダ「コウコウ(興興)」が死んだことで、日本側が賠償金の支払いを求められるとの報道が飛び交っている。
中国側は日本に調査団を派遣し、死亡の原因究明に当たるという。日本側に全面的な責任があるとなれば、賠償額は協定により50万ドル(約4200万円)になるというのだ。
尖閣諸島問題と絡めて報道
オスのジャイアントパンダ、コウコウは2010年9月9日に急死した。王子動物園の発表によるとこの日、メスのパンダ「タンタン(旦旦)」に発情の兆候が見られたため、コウコウに麻酔をして精子の採取を試みた。ところが麻酔から覚める過程で心肺停止となり、正午過ぎに死んだことが確認された。死因は不明だという。
中国の報道によると、死因の確認のために中国野生動物保護協会が「調査団」を日本に派遣するとのこと。さらに、コウコウの死に対して日本側が賠償金を支払うことになる可能性があり、その金額は50万米ドル(約4200万円)に及ぶという。
このニュースは各国で報じられた。米MSNBC.comは9月14日、「パンダの死で外交論争激化」と題した記事を配信。尖閣諸島沖で9月7日、中国漁船が日本の海上保安庁巡視船と衝突、その後日本側が船長を逮捕したことで日中間に緊張が高まっていることと絡めて伝えた。米ウォールストリートジャーナル(電子版)も、中国が日本に対して船長逮捕に関する不快感を表明してきたが、その「最新の動き」としてパンダ問題に触れてきた、としている。
英デイリーテレグラフ紙(電子版)は9月13日付の記事で、中国の大手ポータルサイトに寄せられたコメントを紹介。「コウコウが死んだのは、確か中国人船長が逮捕された翌日だったよな」「10年間何事もなく生きてきたのに、突然死んだのは偶然だったのか」と「陰謀説」を唱える声や、「精子の採取で死んだのは、日本人が中国人を侮辱しようとしたからじゃないか」との意見まで並んだという。