三洋電機が2011年4月をめどにパナソニックの完全子会社となり、「SANYO」ブランドの商品は消える。三洋製品と言えば、パナソニックや東芝、ソニーなど最大手の電機メーカーの商品に比べると、価格が割安で、親しみやすいイメージがある。 三洋は2010年の秋冬モデルの新商品を紹介する恒例の展示会を9月上旬に東京と大阪で開いたが、SANYOブランドを単独で紹介するイベントは今回が最後となる見込みで、関係者からブランド消滅を惜しむ声が漏れた。
「縁の下の三洋」と評されることも
「サンヨー」もしくは「SANYO」と聞いて、まず思い出す商品は何だろう。かつてカラーテレビが普及し始めた1960年代後半から70年代初頭にかけ、日本の電機メーカーは独自の愛称を競い合った。松下電器産業(現パナソニック)の「パナカラー」、日立製作所の「キドカラー」に対して、三洋は漢字の「薔薇」。オーディオは松下の「テクニクス」、三菱電機の「ダイヤトーン」に対して、三洋には「OTTO(オットー)」というブランドがあった。洗濯機には「ママトップ」といった名前もあった。オールドファンには懐かしいネーミングだろう。
現在の三洋製品で思い浮かぶのは、洗濯乾燥機「AQUA」、圧力IHジャー炊飯器「おどり炊き」のほか、デジタルカメラ「Xacti」、充電式電池「eneloop」などだろう。とりわけ洗濯機は三洋の技術力の高さを示す「顔」となっている。1953年に三洋が日本で初めて発売した「噴流式洗濯機」はヒット商品となり、「これが電化ブームの呼び水となり、『三種の神器』と言われた洗濯機、テレビ、冷蔵庫は続々と一般家庭に入り込んだ」という。
01年には水道水を電気分解することで「洗剤がなくても汚れが落ちる」という世界初の洗濯機を発売するなど、アイデアと商品開発力では定評があった。
しかし、近年は自社ブランドでライバルを圧倒するほどの家電製品はなく、デジカメなどのOEM(相手先ブランド)供給や、得意とするリチウムイオン電池を自動車メーカーに供給するなど「縁の下の三洋」と評されることもあった。