小沢一郎総理誕生へ――。民主党代表選中に、こんなタッチで報じた夕刊紙や週刊誌があった。しかし、フタを開ければ、菅直人首相が再選される結果に。どうして、こんなことになったのか。
「小沢が勝つ」「小沢が圧倒」「小沢雄弁」「世論も小沢」…。
小沢派議員の話やネット調査などが根拠
これらは、夕刊紙「日刊ゲンダイ」が、民主党代表選が告示された2010年9月1日の発売号から一面トップにつけた見出しだ。ゲンダイオンラインのダウンロードサイトには、一面の紙面がずらりと張られており、ネット上で話題だ。
はてなブックマークが200ほども付いており、小沢一郎前幹事長への入れ込みぶりに驚くコメントが並んでいる。
ゲンダイは、一貫して小沢支持、菅批判を繰り返している。新聞各紙の世論調査とは違って、小沢氏が勝つとまで主張した。その根拠としては、国会議員を200人は固めており、党員・サポーター票などを加えても数十ポイント差で勝つとの関係者の見方を伝えた。小沢氏に人気が集まったネット上の世論調査も、補強材にしているようだ。
週刊誌では、週刊現代が9月6日発売号で、「菅陣営、なすすべなく敗北へ もう止まらない小沢一郎総理大臣」と大見出しを打った。そこでは、小沢派中堅議員が、国会議員票では、280対130ほどで菅氏を圧倒し、党員・サポーター票がどう出ても大勢は変わらないと明かしたことを紹介している。小沢支持とは打ち出しておらず、勝敗は五分五分との政治評論家の見方も挙げてあるものの、中堅議員の見方に寄り添っている書き方だ。
また、週刊ポストも、小沢氏が勝つとの予想は明確に立てていないものの、8月30日発売号で、国会議員のうち親小沢が反小沢の2倍以上いるとの調査結果を伝えた。その後の誌面でも、新聞の「小沢嫌い」を特集したり、菅氏を「しょせん学生運動上がり」とけなしたり、小沢氏寄りの論調が目立っている。