ポイントは協調介入できるか
今回の円売り介入は、株価の急上昇などをみれば、まずは成果があったといえる。しかし、エコノミストや金融関係者らに「遅すぎる」と指摘する声は少なくない。日本商工会議所の岡村正会頭は2010年9月15日の記者会見で、「適切な処置」と評価しながらも、「もう少し早く介入したら、円安方向に動いたのではないか」との感想をもらした。
日本証券業協会の前哲夫会長は、「1ドル85円が円安といえるかどうか。株式市場の活性化に役立つには、一層の円安が望ましい」と手厳しい。
FX会社の幹部や銀行関係者も、「今後2弾、3弾と断続的、追加的に介入を進める必要がある」と口を揃える。1度だけの介入では、その効果が持続的ではないと考えられているためで、「ロンドンやニューヨークへの介入を進めるべき」(銀行関係者)との声や、「今後の一週間の日銀の動きを注視したい」(FX会社の幹部)と話している。
ただ、2度、3度と為替介入しても、なお円高リスクは払拭できそうにないようだ。第一生命経済研究所・主席エコノミストの嶌峰義清氏は「ポイントは協調介入にある。今後も協調介入への理解が得られないことになると、過去の経緯をみても円安方向への基調を変えるような効果は期待しがたい」という。
欧米などで再び景気が減速しはじめ、それによる円高圧力が増大してくれば、再度の介入もあるだろうが、「介入を繰り返していくことは技術的に可能だが、回数が増えるにつれて効果も効き目が薄れて、一段の円高リスクが高まるだろう」とみている。