技術支援をテコに中国から譲歩を引き出す方針
ただ、駱副局長は「日本以外の輸入国からも問い合わせがあるため、何らかの検討の場は設けたい」とも述べ、2011年以降に譲歩の余地がある可能性だけは残した。中国の決めた輸出規制は10年の措置ということになっており、今のところ11年以降は未定ということにはなってはいる。
一方、副団長の大橋光夫・昭和電工相談役が「資源の乱開発で生じる土壌汚染への対処が重要」として環境技術で支援する考えを示したことに対し、翌8日に会談した李克強副首相は「価値がある」と歓迎する考えを示した。こうした技術支援をテコに中国から譲歩を引き出す種まきだけは辛うじてできたと言えようか。ただ、張団長が直接、改めて懸念を伝えた輸出規制自体について、李副首相は会談中ついに触れずじまいだったといい、今回の訪中の「不発」ぶりを象徴するものとなった。
レアアースの9割を中国からの輸入に頼る日本側は「今後もあらゆるルートを通じて中国の見直しを迫る」(経団連幹部)という。ただ、中国側も簡単にこのカードを手放すとも見られず、日本企業はリサイクルや代替材料の開発などを急ぐ必要がありそうだ。