沖縄県・尖閣諸島を巡り、日中間に波風が立っている。島周辺で起きた衝突事件での中国漁船船長逮捕を受け、同諸島領有権を主張する中国側は、異例の駐中国大使未明呼び出しなどの措置をとった。一方、日本側は船長を除く船員らを帰国させた。総じて「大人の対応」をしているようにみえる日本側の姿勢は、どういう中国側の対応を引き出すのだろうか。
尖閣諸島付近で起きた海上保安庁巡視船と中国漁船の衝突事件で、日本側は逮捕した船長を除く14人の船員を帰国させ、中国漁船も返還することにした。2010年9月13日、仙谷由人官房長官が会見で明らかにした。
「こういう時間帯、遺憾だ」
ただ、仙谷長官は同じ会見で、「こういう時間帯に呼び出すのは日本政府からすると遺憾だ」とも述べた。9月12日未明に中国の副首相級の国務委員が、丹羽宇一郎駐中国大使を呼び出したという異例の措置についてのコメントだ。
衝突事件が起きたのは9月7日午前。翌8日、海保が公務執行妨害の疑いで中国漁船船長(中国籍)を逮捕した。調べによると、同船長は、日本領海内で海保巡視船に漁船船体を衝突させるなどした疑いが持たれている。巡視船は立ち入り検査を行おうと停船を命じながら追跡していた。
船長逮捕を受け、中国側は8日から連日のように丹羽大使を呼び出していたが、12日にはついに、副首相級が休日の未明の時間帯にという異例の呼び出しに発展した。未明の呼び出しは外交儀礼上「非常に無礼」との指摘が出ている。
その間、10日には、岡田克也外相が会見で、中国国内で日本巡視船が中国漁船に衝突させたとの報道が流れているとして、「事実に反します。損傷を見れば明らか」「そういう報道は極めて遺憾」と述べている。その上で「我が国としては事態をこれ以上エスカレートすることは望んでおらず、中国が冷静かつ慎重に対応することを求めたい」と釘をさした。
しかし、11日には中国外務省が、9月中旬に予定されていた東シナ海のガス田共同開発に関する局長級の条約交渉を延期する、と発表した。