賃貸のアパートやマンションに、家賃を払わずに居座る人が増えている。日本賃貸住宅管理協会によると、全国の滞納率は月初めの全体で8.5%(2009年下期)。その後、家主や不動産会社(管理会社)、家賃保証会社の催促などによって支払った人もいて、月末までの1か月の滞納率は3.2%まで下がるものの、いろいろと文句をつけては家賃を払わない居住者は存在する。
なかには意図的に家賃を踏み倒す人もいて、そんな人を「モンスター居住者」と名付けた丸山輝氏の「家主破綻」(幻冬舎メディアコンサルティング刊)が注目されている。
裁判沙汰、傷害事件も頻繁に
「家主破綻」の著者、丸山輝氏は自らも賃貸住宅のオーナーであり、家賃保証会社(貸借人保証事業)のフォーシーズの社長でもある。
丸山氏は、「多くの場合は居住者がうっかり忘れていることが原因なので、後日払ってもらえるのですが、なかには意図的に、家主や管理会社の落ち度を見つけてはクレームをつけて踏み倒そうとする人もいます。決められた家賃を滞納しても、払おうともしない人が少なからず存在し、そのことで迷惑している家主がいることを知ってほしい」と話す。
本書に登場する「モンスター居住者」は、丸山氏の実体験に基づいている。たとえば、米ロースクール卒業の女社長のケースでは、「物件のオーナーと管理会社が急に代わって住環境が変化したことが契約違反になるので家賃は支払わない」などとクレームをつけてきて、反対に損害賠償で訴えられたり、脱サラでお店をはじめたばかりの人がしばらくしても支払いのめどが立たないので相談に乗ったところ、逆に激怒して包丁を持ち出されたりした。引っ越しするので荷物を処分してほしいと頼まれて部屋へ行くと、ゴミがトラック7台分にもなったゴミ屋敷や、家賃を滞納したまま自国に帰ってしまった外国人入居者などもいたそうだ。
新たに貸借人保証事業が登場し、広がってきた背景には、こうした家主と借主とのあいだに、裁判沙汰や殺傷事件が頻繁に起こるようになったことがある。
丸山氏は「モンスターではなくとも、3か月滞納した人は、もう払う気がない人ですね」と話す。家賃滞納者は月3000人ほど。そのうちの約1%が「モンスター居住者」にあたり、明け渡し訴訟などの準備している案件を含めて、常時300件ほどの訴訟を抱えているという。