デフレ下の不況でも飛ぶように売れ、メーカーの生産が追い付かなくなるという、予想外のヒット商品が相次ぎ誕生している。日清食品が近畿で限定販売したばかりの即席カップライス「日清カップヌードルごはん」、サントリーのビール風味飲料「オールフリー」のほか、コメからパンを作る三洋電機の世界初のホームベーカリー(家庭用パン焼き機)「GOPAN(ゴパン)」、シャープの発光ダイオード(LED)電球などだ。
いずれもニッチ商品と言えるが、共通するのは他社にないアイデアと魅力で消費者のニーズをつかんだことだ。
過剰な生産ライン減らしたのが響く
これらのメーカーは「売れすぎで生産が追いつかない」として、商品の販売を一時休止し、発売を延期するといった対応をとっている。メーカーの多くは、バブル崩壊後の景気低迷で過剰な生産ラインを見直したため、人気商品を増産しようにも「即座に対応するのは困難」と、悲鳴を上げている。一部には「話題づくりのため、メーカーがわざと少量生産し、売り切れを演出しているのでは」との指摘も出ているが、メーカーが本当に増産できないのなら、自ら商機を失うことになる。
日清食品の「日清カップヌードルごはん」シリーズは、2010年8月16日に近畿2府4県で先行発売。同社の定番の人気商品「カップヌードル」の味を「ごはん」で再現した即席カップライスだが、発売から4日で目標の2倍の出荷量となり、生産が追い付かなくなった。同社は「販売を一時休止する」と発表。操業時間の延長などで十分な供給体制を確立し、9月27日に再開する予定だ。当面は近畿地区で販売する。
同社は近畿の反応を見て、2010年秋にも全国展開する予定だったが、こちらも遅れる見通しで、「年度内には全国で発売したい」としている。同社は定番のカップヌードルを超える新商品の開発が急務となっているが、皮肉にもカップヌードルの知名度、人気を新商品が証明する形となった。