原口総務相「靖国へ環境整えば」 週刊誌で「公式参拝宣言」

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   「原口総務相『靖国公式参拝』宣言」と週刊文春最新号が伝えた。「菅政権に大激震!」との見出しもついている。

   週刊文春(2010年9月16日号)は、原口一博総務相が靖国神社参拝に関して語った、ジャーナリスト上杉隆氏の記事を掲載した。

「合祀の行政手続き有効性」を調査

靖国神社参拝問題を報じる週刊文春
靖国神社参拝問題を報じる週刊文春

   記事には「菅内閣の閣僚として靖国神社に…私はなぜ決断したのか」との副題もついている。今10年の8月15日には、菅内閣の全閣僚が靖国参拝を行わなかった。そうした状況の中、「原口総務相はただ一人、近く靖国神社に参拝することを明らかにした」との説明文もある。

   民主党は、「靖国神社はA級戦犯が合祀されていることから、総理や閣僚が公式参拝することには問題があります」(政策集INDEX2009)との見解を09年に示しており、野党時代から自民党の総理・閣僚参拝を批判してきた。与党になって初めて迎える10年8月15日の直前には、仙谷由人官房長官が「閣僚は公式に参拝することは自粛しよう」と述べるなどしていた。

   A級戦犯合祀問題については、原口総務相が9月7日、合祀の行政手続きの有効性について国として検証する考えを明らかにした。靖国神社側は「合祀は国の事務手続きに従った」としている。東条英機元首相らA級戦犯合祀に関する祭神名票が1966年に神社へ送られ、「保留」状態が続いた後、78年に合祀された。ところが、「56~70年に出された靖国神社合祀事務協力に関する通知」を廃止する、との通知が旧厚生省から71年に出されている。「合祀は行政手続き的には無効」となる可能性があり、合祀そのものの有効性が問われることにもなる、という訳だ。

   原口大臣は10年9月8日、民主党代表選で小沢一郎前幹事長を支持する考えを明確にした。その小沢氏は8日の記者会見で、首相に就任した場合の靖国参拝問題について、A級戦犯が合祀されていることを理由に見送る考えを示した上で、「本来の姿(A級戦犯分祀)にかえれば、首相が参拝して他国から批判される理由はない」と述べた。

「参拝する国会議員の会」メンバー

   文春記事によると、原口大臣は、菅直人首相がA級戦犯合祀などの理由から「首相や閣僚が公式参拝することには問題がある」と発言していると指摘した上で、「しかし、そう遠くない時期に、環境が整えば私は靖国神社に参拝したいと考えています。できれば菊の花が咲くころにお参りしたい。(略)」と述べている。

   「環境が整えば」とは、何を意味しているのだろうか。「分祀が実現すれば」という意味なら、小沢氏発言と同趣旨で党政策集(09年)とも矛盾しない。しかし、分祀前の公式参拝を意味するなら菅首相の方針などとは真っ向から対立することになる。一方、合祀の行政手続きが仮に無効であれば、「合祀自体も有効ではなく閣僚参拝は可能に」という主張が生まれてくる可能性も否定できない。

   原口大臣は、超党派の「みんなで靖国神社に参拝する国会議員の会」に今も所属しており、「かなり以前から」(同会関係者)のメンバーだ。原口大臣の「公式参拝発言」の真意は、A級戦犯分祀前でも、ということなのか、分祀後ということなのか。「菊の花」云々の表現は、「今(10)年中にも」という意味なのだろうか。

   総務省大臣官房広報室を通じて原口大臣に書面で質問したところ、次のような回答がきた。

「(閣僚としての参拝は分祀実現後なのか、それとも10年秋にも参拝があり得るのかについて)いずれも総合的に判断することになると考えています。私としては、日本人として、靖国神社への参拝がごく当たり前に行われることを願っているものです」
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