女優小池栄子さん夫妻と所属事務所「イエローキャブ」が、報知新聞社に対し計約2億8000万円の損害賠償などを求めた裁判が始まった。「金銭トラブルで離婚の危機」などと報じられたことに対し、「虚偽の記事でイメージが低下し、事業面でダメージも受けた」と訴えている。一方、報知新聞社は争う姿勢を示している。
2010年9月7日、東京地裁で第1回口頭弁論があった。7月に小池さん夫妻側が提訴していた。問題となっている記事は、09年12月11日付スポーツ報知が「小池栄子が坂田亘の金銭トラブルで離婚の危機」の見出し(記事データデース上)で報じたものだ。
報知新聞社は裁判で争う姿勢
報知記事では、小池さんの夫、坂田亘さんが「債務を負っている」と伝え、坂田さんがオープンした飲食店についても、「(09年)年内にも閉店する可能性があるという」と指摘した。夫妻側は「離婚の危機も指摘された債務もなく、飲食店も今も営業を続けている」としている。
報知新聞社に取材すると、裁判で争う姿勢であるとして「裁判の中で社の主張をしていきます」と答えた。
「イエローキャブ」の担当者は、「提訴している通りです。中身の対応は弁護士に任せている」と話した。
著名人の名誉毀損関係訴訟の判決では、賠償額の高額化が進行中だ。高額化の流れは01年ごろから始まり、09年も相撲協会関係の高額賠償を認める判決が注目を集めた。「八百長報道」を巡り、日本相撲協会と北の湖・元理事長が名誉を傷つけられたとして講談社などを訴えた裁判では、東京地裁が09年3月、計1540万円の支払いを命じた。この訴訟の損害賠償請求額は総額1億1000万円だった。
記事と名誉毀損を巡る賠償高額化については、「無責任な報道が横行しており、被害救済はまだ十分ではない」と歓迎する声がある一方、「報道を萎縮させる」などの批判もある。