北朝鮮が、「わが民族同士」という共通の名称を使ってツイッターやユーチューブ、SNS「フェースブック」で宣伝活動しているのではないかと、注目を集めている。特にツイッターは、開始早々多くの欧米メディアが取り上げ、「北朝鮮公式のものか」が議論になっている。
ツイッターについては、米誌記者が北朝鮮政府関係者を取材したうえで「非公式のもの」と断じたが、北朝鮮の国家機関が開設を認めた模様だ。さらには、北朝鮮を揶揄するような「パロディー版『わが民族同士』」も登場するなど、奇妙な動きも出てきた。
「朝鮮6.15編集社」とは何者だ
北朝鮮が自らの主張を流す「情報ツール」としては、当局が開設したとされるウェブサイト「わが民族同士」が知られている。トップページを見ると、サイトと同名のツイッター、ユーチューブ、フェースブックのリンク先が掲載されている。これらは北朝鮮当局が直接運営しているのだろうか。
ツイッターにアクセスすると、掲載されている住所は「平壌」とあるが、それ以上は不明だ。一方フェースブックは、いったんオープンした模様だが、2010年9月6日時点ではリンクが切れており閲覧できない。韓国聯合ニュースが8月23日に伝えたところによると、フェースブックを立ち上げたのは北朝鮮の祖国平和統一委員会の傘下にある「朝鮮6.15編集社」。これを見る限りでは、国家で運営されていたとも考えられる。
米フォーブス誌のテーラー・ブリー記者は2010年8月23日付けのブログで、「北朝鮮政府関係者はフォーブスに対して、ツイッターやフェースブック、ユーチューブは使用していないと語った」と書いた。実際の運営者は、中国や日本在住の北朝鮮支持者であり、北朝鮮国内では今でもソーシャルメディアの使用は禁止されているとも明かした、としている。
ところが、この証言を覆す報道が2010年9月5日に流れた。複数のメディアによると、平壌放送が、ツイッター「わが民族同士」は朝鮮6.15編集社が開設したものだと伝えたという。本当なら、消去されたフェースブックと同じ機関が運営していることになる。開設から1か月弱でフォロワー数は1万人余りと伸び悩んでいるが、韓国政府は国内からのアクセスを遮断。この措置にウェブ版「わが民族同士」が9月1日、「愚かな行為」と非難するなど、南北関係の火種にもなりつつある。