杉並区は冷房を設置する方針に転換
首長の交代が、冷房化を後押しした自治体もある。10年7月に、山田宏前区長の後を継ぐ形で東京都杉並区長に就任した田中良氏は、選挙公約のひとつに「区立小・中学校の夏期における学習環境の改善」を掲げていた。
実は、杉並区では、「エコスクール」と呼ばれる校庭の芝生化や屋上の緑化、ひさしで日光をさえぎるなどの独自の取り組みが進んでおり、冷房化は「『エコスクール化』が終わった学校から順次進める」と、比較的優先順位が低かった。このため、杉並区は、23区では冷房化が最も遅れていた。
たが、区長交代や、「都市部の酷暑、光化学スモッグ、夏休み中の補習の増加、11年度からの新教育課程による授業数の増加」(教育委員会)を理由に、区では9月3日、区内の小中学校66校のうち、未設置だった48校についてエアコンを設置する方針を発表。事実上、前区長の政策を転換した形だ。
設置費用は1教室あたり270万円を見込んでおり、20校については11年5月までに、残り28校については11年8月末までに設置する。少なくとも半数については、来年の夏に間に合いそうだ。
また、「エアコンがあっても活用されていない」事例もある。
京都市教職員組合は9月3日、一部の小中学校で「電気代を気にして、午後にクーラーが切られた」といった例があったとして、(1)最高気温が28度以上の日には、冷房使用を制限しないように各校に指導する(2)光熱費予算を増額する、ことなどを市の教育委員会に申し入れている。
今年の猛暑が、各地の冷房化を後押しすることになりそうだ。